OBS Studioを利用してライブ配信をしながら同時に録画をしたいけれど
「映像と音が一緒になってしまっていて理想の編集ができない。」
「ゲームの音と声などが一緒になってしまって編集ができない。」
「音を分ける方法があるらしいけれど、やり方がわからない。」
という話を聞くようになりました。
OBS Studioは音の収録に関して、最大でステレオ x 6チャンネル(合計12チャンネル)を活用してライブ配信しながら同時に音声トラックが別々の録画をして1ファイルにまとめて書き出すことが可能です。
本記事ではシンプルな方法でライブ配信をしながら、後で編集がしやすいように各オーディオトラックごとに入力音声の情報を分けて収録しておける方法を紹介します。
本記事では、解説をシンプルにするために、なるべくPC構成などに依存した設定や条件を扱わないようにしています。
加えて、「音声トラックを別々にする」設定の方法だけに特化した解説をしています。
また、本記事と合わせて高品質な映像配信と音声出力を可能にするために下記の記事がお役に立てば幸いです。
OBS Studioで音声トラックを別々にするための設定
本記事の前提としてOBS Studioには、下記のように収録する音声トラックを分けて配信と録画をする内容として進めていきます。
- CH1 ライブ配信用に全ての音声入力が送出されるようにするためのチャンネル
- CH2 動画のオーディオ
- CH3 BGM
- CH4 配信者の声(メインマイク)
- CH5 コラボ配信者 A
- CH6 コラボ配信者 B
OBS Studioの基本設定
まずはOBS Studioの「コントロール」から「設定」をクリックします。
基本的に、マルチトラックオーディオの設定などを行う時は「詳細モード」で映像と音声も含めて設定をするようにしていきます。
配信設定

「出力」を選択します。
「出力モード」を「詳細」に変更します。
配信タブを選んで「配信設定」内の音声トラック選択で「◯1」にチェックが入っていることを確認します。
録画設定
続いて録画の設定に移ります。

続いて「録画」タブに移ります。
録画設定内の「音声トラック」にある1〜6のチェックボックスを全てONの状態にします。
OBS Studio全体に関わる初期設定は、これだけで完了です。
編集ソフトと相性の良いコーデックを選んで配信と録画を行う
OBS Studioで設定できるコーデックや、ハイスペックなグラフィックボードを搭載しているPCなどの場合、選択できるコーデックが増えたりと選択の幅は一気に広がります。
しかし、「録画」をしたあとの編集までを考慮すると、最終的にコーデックの選択は、自分が持っている編集ソフトと相性の良いコーデックを選ぶことが重要になります。
OBS Studioの初期設定で設定されているコーデックは「H.264」は、今では一般的によく使われているコーデックです。
独自と思えるようなコーデックの利用は何かと規格外のパラメータなどが入っていることが多いため、それが色々な不具合の原因になります。
4K60p配信にするなどの高解像配信などでなければ、録画は「H.264」エンコーダを選ぶようにしましょう。
OBS Studioのソースに複数の音声入力ソースを登録する
続いては、OBS Studioの各シーンに入力する複数の音声を別々の音声トラックでエンコードできるように設定していきます。
本記事では、1チャンネルをライブ配信用にして、5チャンネルを各音声入力ソースとして構成する内容にしています。
音声入力ソースの登録方法やマイクの設定方法などについては別の記事で取り扱っていますので、そちらが参考になれば幸いです。
各音声の入力ソース登録と構成
複数の音声トラックを収録する機能をフルに活用したいため、下記画像のように構成しました。

複数の音声トラックに分けて扱う場合は、トラックの順番の整理や各ソースの名前の前に対応するチャンネル番号を入れておいて、視覚的にOBS Studioで管理しやすいように工夫をしておきましょう。
オーディオ詳細プロパティで音声トラックの割り当てを設定する
全ての音声入力ソースが登録できたら、録画をする時に対応させる音せトラック番号と各音声入力ソースを下記画像のように繋ぎ合わせます。
「オーディオの詳細プロパティ」は、音声ミキサードックから「歯車ボタン」を押すか「三点リーダー」のボタンから表示することができます。

設定画面の右側にあるトラック番号と音声入力ソースを紐づけていきます。
- 1CH目は配信音声に使うので全ての音声入力ソースでチェックを入れています。
- 2CH〜6CHまでは、各音声入力ソースに対して1つのチャンネルだけ追加します
- 最後に1CH目以外の2CH〜6CHが設定で重複してチェックマークが入っていないか確認します。
これだけの作業で複数の音声トラックで収録するチャンネル振り分けが完了しています。
ここまで設定が済めば、ライブ配信用に全ての音声入力ソースをまとめた1つのチャンネルと、録画用に各音声入力ソースを分けて収録した1つのムービーファイルを書き出せるようになっています。
OBS Studioの「コントロール」ドックにある「設定」を選択し、「一般」タブ内の「配信時に自動的に録画する」のチェックボックスでONにすることができます。
それでは、まず試しにテストライブ配信、または録画ボタンを押してみましょう。
配信を停止すると、特別に何か設定をしていなければ、録画ファイルの書き出し先として設定された場所で1つのムービーファイルが完成します。
複数の音声トラックで収録できるようにしたムービファイルの検証
完成したムービーファイルを、所有している編集ソフトへ登録してみましょう。
編集ソフトによって、複数の音声トラックが収録された動画ファイルの扱いや挙動が少し違うので、各編集ソフトのマルチトラックオーディオの扱いに関する設定等を確認して、自分が編集しやすい形に整えておきましょう。
編集ソフトにOBS Studioで作成したムービーファイルを登録すると、下記のように配信用オーディオとして全ての音声入力ソースが1つにまとまって再生された音声と、5つの音声入力ソースがステレオ6チャンネル分(合計12トラック)キレイに分けられた状態で表示されます。

この状態になっていれば、編集の時に使いたい音だけを拾って編集することが可能になるので、多様な編集コンテンツを制作していくことが可能になります。
可能な限り同時録画はおすすめしたい
ライブ配信で様々な配信コンテンツを提供したり、他の配信者さんとコラボしたときに、各音声チャンネルが分けられて収録されているムービーデータがあると、修正したい部分があったときなどに非常に重宝するデータになります。
ライブ配信と同時に録画もしてムービーデータを作る設定にすると、配信用PCの負荷は大きくなります。
PCのスペックによっては同時録画をすると配信映像に影響してフレーム落ちなどの問題が出てくる場合があります。
実際に、ライブ配信しながら同時録画をした時に、問題が起きているかどうかはOBS Studioの「ドック」から「統計」を選択するとドロップしてしまったフレーム数などを確認することができます。

ライブ配信しながら同時録画をしてみて、フレーム落ちなどが起きていなければ、ライブ配信で公開したコンテンツだけでなく、後々、色々なコンテンツと組み合わせた「まとめ動画」を作ったり、次にライブ配信する内容と関連した「ライブ配信の合間に流すライブ配信映像」を作成して、ずっとライブ配信コンテンツを流し続けることも可能になります。
特にライブ配信を始めた初期の頃は、このようなアーカイブコンテンツの編集で活用するチャンネル運用方法は、早期成長をさせるための重要な幕間コンテンツになります。
複数の音声トラックで収録された動画ファイル制作は設定も難しいですし、編集の時も扱いづらい素材ではありますが、慣れさえできれば本当に役立つマスター素材になってくれます。
今後、可能性としてOBS Studioがより多くの音声チャンネル収録に対応できるようになる可能性もあるので、その時にまた、本記事も更新していきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。