今回は、筆者がボイチェン用に使用している無料でも使えるピッチシフタープラグインを紹介します。
男声、女声までを自在に変化させようとなると、このプラグインだけでは難しいところが色々とあるのですが、これを使用して「他人の空似」くらいにピッチシフトさせるだけだったら、新たにライブ配信や声の入ったを始めようと思った時にハードルが下がるし、声の入った動画投稿をためらっていた人もコンテンツ制作を始められると考えています。
本記事ではYouTubeチャンネルごとに分けている設定の中から、「ちょっと使い」をする時に実際に使っている設定内容と、その設定から更に音を整えるための工夫について書いていきます。
このプラグインを使う配信アプリケーションとしてOBS Studioを使用してYouTubeなどでライブ配信することを前提にしていきます。
ちょっと使いならスゴく役立つ「Pitchproof」

Pitchproofのインストール
まずは、Pitchploofの公式サイトからプラグインをダウンロードしてOBS Studioにインストールしていきましょう。
インストールがうまくいかない場合は、インストーラーに付属しているテキストに、自分が使っているPC(OS)の、どのディレクトリにプラグインのファイルを入れれば良いのかガイドが書いてあります。
OBS Studioでマイク入力を割り当てていることろの「フィルタ」から「VSTプラグイン」を選んで「Pitchploof」を選びましょう。
Pitchproofのフィルタを差し込む順番
筆者の場合、ピッチシフトを利用した場合の順番を以下のようにしています。
- ノイズ除去やノイズゲートなどのフィルタ群
- ピッチシフター
- ディフェッサー(歯擦音除去)
- EQ(TDR Novaなど)
- コンプレッサーやリミッターなど
というような順番でフィルタを差し込むようにしています。
音が入る最初の段階から余計な音をしっかり削除するために、ノイズ除去などのフィルタから次に差し込むものは、ディフェッサーやEQ(TDR Nova)などにして、ピッチシフターの前に持ってくる方法もあります。
ボイチェンとなると、自分の声に合わせて設定しながら、フィルタの順番を前後させる方法など、最初は自由に試してみる感じでも良いと考えています。
ピッチシフターを使うと、歯擦音や破裂音(歯擦音)が強調される特徴があるので、ディフェッサーというフィルタなどを差し込んで音を整えるようにしています。
具体的なプラグインの名前やフィルタの詳細は下記のブログ記事で紹介しています。
また、TDR Novaなどのプラグインを用いて、音声出力として使用する周波数帯域もグッと絞り込みます。
この辺りの設定はPitchproofの設定値を合わせて記載します。
Pitchproofのフィルタの設定値
簡潔に設定値を記載します。
ただ、この辺りの設定値は声質でかなり変わるので、一度設定した後は、細かく値を調整しながら自然に聞こえるところを微調整しながら探してみてください。
- BLEND:WET側に100%
- DETUNE:ほぼ-1近辺(筆者の場合、さらに女声に変換するときは、10時の方向から1時の方向あたりまで)
- PITCH:+1 または -1(筆者の場合は+1、さらに女声に変換するときには+4)
- Transient Fix:OFF
- MONO→STEREO
- NO Display(OBSなどでは、真ん中のディスプレイがワチャワチャと点滅されることが多い)
まずは上記の設定値にします。
これだけで、似ているけれど少し自分の声とは違う感じになっていると思います。
続いて、TDR NovaのEQ設定で出力される音域を絞っていきます。
TDR Novaフィルタの設定値
設定画面の左下にある「HP」と「LP」をクリックすると、音声配信で利用したい周波数帯を設定できるようになります。
HP:145Hz
LP:15000Hz
がっつり絞ります。
はっきりいって、こんなに絞るとパッキパキすぎて物凄く軽い音になりますが、まずは極端すぎるくらいに値を振ってから
HP:80Hz〜145Hzの間
LP:15000Hz〜(できるだけ音域は狭い方がボイチェン設定のブレた音が落ち着きやすい)
上記のような感じで聞こえ具合を調整していきます。
通常より、音域をものすごく絞る理由は、有料のボイチェン系ソフトウェアや、無料プラグインの有償版などを利用する場合、ピッチシフトした時の音の揺らぎやうねり、反復などの音は自動的に制御されて、品質の高いピッチシフト後の処理結果を出してくれるものが多いのですが、無料版ではその機能が制限されているか、人の声専用にカスタマイズされていないことがほとんどです。
なので、気になる音が出やすい周波数帯をガッツリと先に削ってしまってから、自分の声に合わせて少しずつ調整していくイメージです。
この二つのプラグイン「Pitchproof」、「TDR Nova」を使って、ここまでの極端な設定をするだけでも、まずは自分の声ではないような感じになって、配信も少し気軽にできる感が見えてくるかもしれません。
声を変換した後のモニター音声は聞きながらの方が良いのか?
基本的に、この辺りのプラグインやソフトウェア、ツールを使うと音ズレが発生しない仕様で発信するには、かなり無理があります。
とはいえ、音ズレしたままの音声をモニターしながら喋るのも、これもまたかなりハードモードです。
これは、かなり好みの部分になりますが、筆者の場合、誰でもとりあえず簡単にできる方法で、モニター音声を(かなり小さい音量で)自分だけに聞こえるようにするラインを作って配信しています。
- 配信前に必ずサウンドチェックをする
- モニター出力で自分だけが聞こえるマイク入力チャンネルを作る
- 自分だけに変換後の声が(スゴく小さく)聞こえるようにOBS Studioの設定をする
最小限の音声入力ラインでやろうとすると、配信アプリの設定をよく知っておかないと難しいというのがあるので、取り急ぎ、マイクの入力ラインで変換後の自分の声を自分だけが聞こえるように音声入力ラインをふ増やし、それをモニターにして聞いています。
配信される映像と音声のモニターライン、それと自分だけが聞くための音声ラインを簡単に切り分ける方法については、下記のブログ記事で紹介しているノウハウが役に立つと考えています。
今回のPitchproofを利用してピッチシフト(軽いボイチェン)をすること自体は、ほとんど音声出力のズレは発生しませんが、そのほかのフィルターやプラグインを利用することで出力までの音ズレはどんどん大きくなっていきます。
しかし、ボイチェンを使って「歌枠」を開くとかでなければ、この場合、自分の声を極力小さい音でモニターするようにしておけば、音ズレの影響を受けずに喋りやすくなるはずです。
極端な言い方ですが、ボイチェン後のモニター出力については、自分のイヤフォンに返しを入れずに、「事前にしっかりとサウンドチェックを済ませる」ということを前提にすれば、喋りやすさも変わるパターンもあるので検討です。
軽くピッチシフトを入れてボイチェンすることでライブ配信のハードルを下げる
本記事で紹介したプラグインを使うことで、自分そのままの声でライブ配信やアーカイブ、動画投稿をするのを躊躇っていた人が抱えていた課題も解決できる糸口が見つかると考えています。
現在は、日々そのものが何でも配信コンテンツとして活用できる時代で、企画次第によっては大きなチャンネル成長をもつ機会に恵まれた環境になっています。
とくに、最近のゲームプレイコンテンツでは、ゲームメーカーやパブリッシャーが、全く何も話さないで付加価値のないものはNGという配信ガイドラインも明確にしてくるところも出てきています。
そういうような状況下の中で、このようなピッチシフトプラグインやボイチェン専用ソフトウェアを使用することにより、「少しだけ声を変える」だけで、声入れライブ配信ができるハードルが少しでも下げられ、配信する人の役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Pitchploof|Aegean Music