デジタルシネマパッケージ(DCP)を分かりやすく解説【映画上映で使われているデータのこと】

デジタルシネマ劇場の全体イメージ

デジタルシネマパッケージはDCPとも呼ばれ、それはデジタルデータで構成された「劇場上映での投影方式」です。

映画館ではフィルムでの映写上映にとって変わり、現在ではほぼ全ての上映システムでDCPによるデジタルデータ上映方式に切り替わりました。

DCPとは?

DCPとはデジタルシネマパッケージのこと

DCPはデジタルデータで構成されたデジタルシネマフォーマットですが、Wikipediaでは次のように説明されています。

デジタルシネマ

デジタルシネマ(英語: Digital cinema)とは、銀塩フィルムの映画カメラの代わりに、デジタル記録方式のビデオカメラを撮影に使って録画・録音し、さらに映像編集から配給・上映・映写機に至るまでの一連のプロセスに、デジタルデータを使用する映画である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

現在は、適正な解像度で出力された映像と音声があればフリーソフトでも作成できてしまいます。

無料のソフトでも作ることが出来るようになったデジタルシネマパッケージの制作環境が環境が整っているので、DCPは解像度やフレームレートなどの規格を少し把握しておけば、制作進行もできる内容です。

フィルム上映からDCPへ

2006年を境にフィルムからデジタルシネマパッケージへ移行していった

現在、映画を公開するほぼ全ての劇場でフィルム上映からDCP上映に切り替わっています。

DCPのデータ構造自体は複雑なものです。

しかし、DCPマスタリングをする技術者以外は、最低限のフォーマット情報を覚えおけば問題なく業務を進めることが可能です。

デジタルシネマパッケージのこと
  1. DCPってそもそもどういうデータなの?
  2. DCPの技術情報がやっと増えてきた!
  3. DCPで使用されている解像度
  4. DCPで使用されているオーディオスペック
  5. DCPのフレームレート
  6. DCPはちょっと特殊なカラースペース

それでは、DCPの解説をしていきます。

①DCPってそもそもどういうデータなの?

DCPとは、映像データ、音声データ、字幕ファイル、コンテンツの権利情報ファイル、再生制御など、デジタルシネマパッケージの構造は、多くのファイルで構成された「ファイル構成」そのものを指します。

構成された各ファイルは、ひとつの時もあれば複数で複雑に構成・管理されています。

これらは、複雑なデータ構造で構成されたデータを上映するために必要な構成リスト(CPL)や、コンテンツを劇場で使用するサーバーにデータ移動(インジェスト)する際にデータが破損されていないかをチェックするための要素となるPKL(Packing List)などが格納されています。

構成要素として、それ以外にもアセットマップ(ASSETMAP)ボリュームインデックス(VOLINDEX)、またコンテンツを安全に劇場公開までに運用できるようにデータをセキュアな状態にするためのKDMなどが格納されています。

②DCPの技術情報がやっと増えてきた!

いきなりDCP制作にチャレンジしてみようと考えると、以前はWeb上の日本語ソースではWeb上にほとんど情報が上がっていませんでした。

現在では情報量も多くなり、DCPの技術情報を共有化される方が増えてきたおかげでDCP制作の障壁も少なくなってきています。

また、有償ではありますがeasyDCPの操作性が良くなり、DCPマスタリングをするテクニカルな部分の作業も簡単になってきています。

現在では更にIMF Studioシリーズも展開され、IMF CreatorとIMF Playerも揃っているので、手軽に最新アーカイブフォーマットを作れる用にもなりました。

easyDCPはアップデートに関してサブスクリプション型の料金モデルなのでちょっと費用が掛かりますが、現在は1本だけ利用の料金ラインナップなども対応しているので、是非、DCP制作をするときには検討してみてください。

③DCPで使用されている解像度

デジタルシネマパッケージの映像解像度

まずは、DCPがどのようなレベルの解像度で上映されているかを知りましょう。

DCPで使用されている解像度は

  1. HDTV (1920 × 1080 or 3840 × 2160)
  2. Flat (1998 × 1080 or 3996 × 2160)
  3. Scope (2048 × 858 or 4096 × 1716)
  4. Full (2048 × 1080 or 4096 × 2160)

などがあります。

ただ、予告編なども含め、データの解像度と上映される本編が持っている解像度やアスペクト比は、一致しないこともあります。

④DCPで使用されているオーディオスペック

DCPで使用されている音声は基本的にリニアPCMの 48Khz・96Khzの24bitで格納されます。

ただ、リニアPCM以外にもいくつかの音声フォーマットが使用されており、現在はかなりの高音質を劇場で楽しむことができます。

⑤DCPのフレームレート

DCPのフレームレートは基本的には24pになっていますが、ODS(Other Digital Stuff)の場合には30fpsになっている物があります。

⑥DCPはちょっと特殊なカラースペース

デジタルシネマパッケージはXYZという特殊なカラースペースを利用する

デジタルシネマパッケージのカラースペースはXYZの色空間で指定されています。

制作進行業務でDCPでのコンテンツ運用を任された場合、一番最初に確認すべきポイントは、映像はJPEG2000 12bit XYZカラースペースで格納されているということを忘れないようにしましょう。

XYZのカラースペースでQCを行うときは、ソフトによって設定がバラバラです。

最近は、ソフトウェアで簡単にDCPマスタリングが出来ることもあり、素材(DCDM)をDCP用にJPEG2000エンコードした際に、XYZカラースペースに変換されていることを知らないエンジニア担当の方も出てきたのでご注意ください。

カラースペースの変換がどのように影響するのか、DCPに変換するときはカラーバー使って色がどのように変わるのか実際に目で見てみて検証しておくと学びになります。

DCP制作に向けて

DCPのデータのことを知ってもらった中で、次はDCPの制作進行業務に向けてどのような準備をすれば良いのか解説していきます。

DCP制作トピックス
  1. DCPマスターデータはどう用意すればいいの?
  2. 入稿時によくある映像フレームレートのミス
  3. データのフォーマットチェックツール

①DCPマスターデータはどう用意すればいいの?

DCPマスタリングされたデータはとても複雑なデータ構造ではありますが、必要なコンテンツデータは放送用やパッケージコンテンツ(DVD/Blu-ray/UHD Blu-ray)、配信用に用意するマスターデータとさほど変わりません。

DCPにするために重要なことは、DCPマスタリングする前のコンテンツのフレームレートを24pか30pにしておき、音声データをリニアPCM 48Khz・96Khzの24bitで用意することくらいです。

②入稿時によくある映像フレームレートのミス

よくあるトラブルとして映像マスターのフレームレートで、DCPに適したフレームレートになっていないことがよくあります。

24p(23.976PsFや23.98PsF)、 30p(29.97fps)が同一な方がいらっしゃるのですが、厳密には全く違うフレームレートなので、ここで24pは完全な24pで納品をするようにしてくだい。

この辺りは、コンテンツ制作担当者の方とクリエイター、エンジニアの間で、認識や会話のズレが結構多いので、まずはDCPにしようとするコンテンツが、変換のための正しいフレームレートでコンテンツの準備ができているかを確認しましょう。

③データのフォーマットチェックツール

データの中身(フォーマット)チェックには、Media Infoというツールが活用できます。

自分で24pにしたつもりでも、ソフトによっては24p(23.976PsF)で結局出力されていたということもよくあります。

また、納品データがOS環境によってそもそも確認ができないという方もいらっしゃいます。

最近はOS間で都合が悪い出力フォーマットも、コーデック(ProResやカノープスコーデックなどの特殊なデータを再生するためのデータ)が揃う環境になっています。

これらのツールでDCP環境を整備してDCP制作進行に役立ててください。

DCP(デジタルシネマパッケージ)の情報まとめ

DCP(デジタルシネマパッケージ)の情報まとめ

DCP関連の内容をまとめた記事を作成しました。

こちらの記事を読んでいただければ、デジタルシネマパッケージに関する様々な情報が確認できます。

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小林 玲王奈ユニコーンコンサルティング株式会社 代表取締役

起業して法人化した初期の頃は、自分と同じく起業する人や、スタートアップ企業と事業の共同立ち上げ立ち上げを中心に活動していました。

現在は、Webメディア運営を中心に、Webアプリの開発、キャラクターデザインからのLINEスタンプ制作やLINE絵文字等の販売及び、3DCGによるコンテンツ制作事業としてAR(拡張現実)やVR(仮想現実)、MR(複合現実)向けのプラットフォームへコンテンツ提供を行っています。

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主な経歴としては、2003年から放送及び映像業界向けの様々な新規事業立ち上げを15年以上担当していました。

2014年からは、会社員として働きながら経営/メディアコンサルティング業を開始して、2020年01月に法人化し、ユニコーンコンサルティング株式会社を設立しました。

現在、公式として公開しているユニコブログ®以外にも、数十サイトの特化ブログ型Webメディアや、サイト型Webメディアを運用しています。

全て同じサイト構成、ブログ記事構成、文章構成など、検証可能な範囲で仕様を合わせてみて、収益を出すのに再現性があるか?などを試行錯誤している日々です。

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所有資格や認定ライセンスとしては、SMPTE Professional Engineer Member、一般社団法人 日本ポストプロダクション協会認定 映像音響処理技術者などを所有しています。デジタル認定証についてはプロフィール詳細から確認できるようになっています。

著書 : 『保存版 売上を向上させるためのYouTube活用術』

教育関連でも複数の教育機関で定期的に講演を行っています。主な活動実績としては、2020年度と2021年度の 学校法人調布学園 田園調布学園 中等部・高等部「豊かな教養を培う 未来へつなぐ土曜コアプログラム『探究』」にて空中ディスプレイコンテンツ制作及びWebサイト制作の特別講師を担当。

2022年度は土曜プログラム(マイプログラム)『仕事最前線』での講演などになります。

2023年以降は、オンライン講演での活動が多くなっています。

著述家 / ブロガー兼コンテンツクリエイター

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