映画や映像のバリアフリー化についてわかりやすく解説

近年、日本でも、やっと映画や映像のバリアフリー化を本格的に進めていく活動や、バリアフリー上映に対応している映画作品が増えてきています。

筆者の感覚としては、さまざまなアクセシビリティに関する法案が施行される中で特に、2024年4月には改正された「障害者差別解消法」が、映画業界や映像制作業界に具体的な形として対応が求められるようになっていると考えています。

本記事では、映画のバリアフリー化がどのような取り組みで実現されるのか、またその社会的意義について解説していきます。

なるべく専門用語は使用しないように書いているので、平坦で単調な文章になりますが、ご容赦いただければ幸いです。

バリアフリー映画とは何か?

バリアフリー映画及び、バリアフリー上映とは、障害のある方でも映画や映像作品を楽しめるように配慮された作品のことを指します。

具体的には視覚や聴覚に障害を持つ方に向けて、下記のような字幕音声ガイドを提供する取り組みが行われています。

映画コンテンツに関するバリアフリー
  • 視覚障害者向け「音声ガイド」、「点字」等等
  • 聴覚障害者向け「日本語字幕」や「手話」
  • 4Dシネマなどの活用

こうした対応によって、誰もが等しく映画鑑賞を楽しめるコンテンツ体験できるようになっています。

改正「障害者差別解消法」と映画業界の対応について

2024年4月に施行された改正「障害者差別解消法」では、映画館や映像配信サービスなどが障害者に対して合理的配慮を提供することが義務化されました。

これにより映画館は、バリアフリー上映設備の整備や、このほか配信サービス等においてもバリアフリー対応コンテンツの提供が必須となっています。

しかし、現実の問題として、劇場(スクリーン)までを所有している大手の配給会社での対応は自社作品を中心に対応が出来ていますが、それ以外、多くの劇場では未だ、バリアフリー環境、および映画上映をする環境が整っているとは言えず、対応するための様々な課題を業界全体が抱えているのも、事実としてあるのが現状です。

各自治体やNPO法人が協力・協賛したバリアフリー上映会も、以前に比べると少しずつ話題にも上がるようになってきていますが、それでもまだ、バリアフリーに対応した作品自体の情報を知るためのプロセスやプロモーションについて課題を抱えているのも現状です。

筆者の場合だと、この分野については劇場で映画作品を上映するためのデジタルデータである「デジタルシネマパッケージ」をマスタリングする部分で関わっていますが、バリアフリーに対応したコンテンツ仕様にするための予算まで含めて、完成作品として上映されるまでに用意ができないまま、作品上映されていく作品も少なくありません。

バリアフリー上映の仕組みと技術

前章で紹介したように、バリアフリー上映では、「デジタルシネマパッケージ(DCP)」というコンテンツの格納技術が利用されています。

DCPは、字幕データや音声ガイド用の音声データ、これ以外にもバリアフリー用の様々なコンテンツを1つのパッケージに含めることが可能になっており、劇場側が、上映前にそれらの再生を設定することで、障害を持つ方も映画を楽しめるようになっています。

体験としては、字幕データはスクリーン上に本編と合わせて表示され、音声ガイドは専用端末やスマートフォンを通じて聞くことなどが可能です。

筆者が実際に関わったものとしても、独自のOSや専用端末ではなく、来場者が所有しているスマホとスマートグラスをBluetoothなどで接続しておいて、来場者自身のスマホから起動した専用アプリとスマートグラスが連携され、劇場上映コンテンツが楽しめるような開発案件などがありました。

映画や映像のバリアフリー化における課題

バリアフリー映画の普及には、シンプルだけれど、なんともスゴく解決が難しい課題があります。

なんといってもそれは、上映側もコンテンツ制作側も互いが抱えているコンテンツ制作費用や設備整備のコスト増における負担の大きさです。

助成金などによって、このあたりが補助される環境は整ってはいますが、それでも、バリアフリー対応までを含めた映画中黒映像コンテンツを制作する予算を潤沢に確保することは至難の技です。

さらには、映画や映像作品のバリアフリー化において、普及や啓発活動に行っている団体についても、それぞれが個別のバリアフリー化ソフトウェアを開発していているのが現状で、これら全てが、コンテンツ制作において無償で全て利用できる、もっとオープンなソフトウェアのリリースが望まれています。

映画や映像コンテンツのバリアフリー化を進めていくために

筆者が、このあたり、特にデジタルシネマパッケージにおけるコンテンツのバリアフリー化は、昨今、次々とリリースされているMCP(Model-Context-Protocol)関連技術を活用することで、「バリアフリー化に用意される予算の課題」は作業効率面で、かなり解決されると考えています。

何かお手伝いする機会があれば、、またこのへんのブログ記事を更新していきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

デジタルシネマパッケージの情報まとめ
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小林 玲王奈ユニコーンコンサルティング株式会社 代表取締役

放送業界や映画業界で映像制作や新規事業の立ち上げを中心に16年間働いて2019年に独立。2020年1月にユニコーンコンサルティング株式会社を設立しました。現在は、国内・海外向けの小規模Webメディアやライブ配信メインのYouTubeチャンネルを複数運営。映像技術関連の技術顧問やWebサイト及びYouTubeのチャンネル運営サポート、このほか複数の教育機関で特別講義を行なっています。|BBT経営塾(旧:大前経営塾)第10期生 卒塾

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