デジタルシネマパッケージは、多くの複雑なデータで構成されている様に見えますが、ひとつひとつのデータ構造を紐解いていくことで、所定のデータがちゃんと整理されて格納されているということが理解できる様になってきます。
一見、ややこしく見えますが、基本的な構造は全て同じです。
今回、解説するデータ以外にも、必要に応じて暗号化のデータや字幕データなどが入ります。
利用する音声データによってもファイルの数が変わったりしますが、本記事で紹介する基本構造を覚えておけば大丈夫です。
それでは解説していきたいと思います。
目次
DCPの基本データ構造
DCPの基本的なデータ構造は以下の画像になっています。
DCPとは定められたデータ構造のことを指す
DCP(デジタルシネマパッケージ)とは、映像データで言われる一つの何かのデータではありません。
DCI(Digital Cinema Initiative)というデジタルシネマの規格で定められたデータ構造のことを指します。
DCIができるまでの歴史については書き記すと、かなりの量になるので、また別記事で書いていきます。
DCPは、非常に厳格なデータ構造とその約束事が規格で細かく決められています。
少しでも規格から外れていると、シネマサーバーにインジェストした際にエラーとして弾かれることになります。
シネマサーバーにインジェストすると0と1のビット単位で、全てのデータが検査されるくらい厳重なフォーマットになっています。
DCPのデータ構造
DCPは以下の構造でフォルダに格納されています。
- ASSETMAP.xml
- VOLINDEX.xml
- CPL.xml(Composition Play List)
- PKL.xml (Packing List)
- (Picture).mxf
- (Audio).mxf
- –その他、フォントデータやSubtitle.xmlやKDMなど
ASSETMAP.xml
このASSETMAP.xmlがあることで、シネマサーバーやDCPプレイヤーは、DCPで紐つけられた全てのファイルを把握することができます。
DCPプレイヤーで犀星する時、このASSETMAP.xmlを指定すると、オーディオデータや字幕データをどのセットで再生するかなど、リスト表示された選択画面から指定することもできます。
VOLINDEX.xml
複数にわたるメディアにデータが格納されている時にその情報を維持するファイルです。現状では一部を除いてあまり運用はされていないです。
CPL.xml(Composition Play List)
DCP内のコンテンツ情報を取り纏めた情報ファイルです。DCP内のデータに差し替えや組み合わせの変更があった時など、このCPLも関連して紐ついているので、コンテンツの修正があった場合には必ず再パッケージ化が必要になります。
PKL.xml (Packing List)
PKLは、CPL内に記録された全てのデータのハッシュ値を含んでいています。
シネマサーバーにインジェストする際に、中身のデータに破損や、ビット単位で相違がないかをチェックしています。
たまに、映像部分の連番書き出しファイルの差し替えなどを行い、ハッシュ値の再取得とこれらのハッシュ値を手動で書き換えるやり方がありますが、インジェストエラーになりやすいので、都度、専用ソフトウェアでDCPの再パッケージを行いましょう。
(Picture).mxf
映像データのmxfファイルになります。()があるのは、名前が変更されるためです。中身は.mxfコンテナ内に格納された、膨大な数のJPEG2000という画像データが連番で格納されたデータの塊です。
(Audio).mxf
この中にはオーディオファイルが含まれています。
今回は「基本構造」の説明なのでこれくらいになりますが、実際はCPLが複数あったり、オーディオファイル、字幕ファイル含め、様々なファイルが複数格納されたりもしています。
DCPの基本構造説明については以上になります。
複数メディアでの展開
最近では、特に海外からの買い付け時に指定するマスターをDCPで指定することも多くなりました。
ちょっとこぼれ話ですが、もしDVDパッケージでの販売が計画にない場合は、Bluーrayも配信も普通に24P再生にプレイヤーや配信プロバイダーが対応しています。
なので。字幕などのコンテンツもひとつの元データで制作進行していくことが可能です。
よく課題になるのが、DVDの販売用パッケージでのフレーム変換です。
24Pからのフレーム変換は中々手間がかかる作業で、さくっとできるものには品質的に問題がある変換結果になるものもあります。
基本的には字幕も再スポッティング、映像データはフレーム変換が必要になってきます。
あまり予算がない場合は、映像データは本国からProres422で再度データを受け取り、字幕は再スポッティングではなく自動変換が可能です。
※カット間をまたぐ字幕番号が発生する発生する可能性はあります。
このあたりの進行も考えに入っていると、制作進行がスムーズにいくようになります。
本記事が参考になれば幸いです。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。