映画館での上映に使用されるデジタルシネマパッケージは自分で作れる

デジタルシネマパッケージを使用する劇場のイメージ

デジタルシネマパッケージは費用をかけずに自分で作成することが可能です。

特に予告編などの尺の短い制作物については作業負荷が少ないため、DCPへの変換は手軽に行うことができます。

DCPは、無料のツールでも充分に映画館で再生できるほどの環境が揃っているので、本記事がお役に立てば幸いです。

この記事の内容
  1. DCP制作は簡単になった
  2. 費用をかけずにDCPは作れる
  3. DCPの制作や再生環境の紹介

デジタルシネマパッケージの意味

デジタルシネマパッケージの意味を解説

デジタルシネマパッケージ(digital cinema package)は、略称でDCPと称されています。

映画館で利用されていた35mmフィルムに代わり、デジタルデータでの上映を目的として作られた映画コンテンツを格納しているデータフォーマットの事です。

DCPのフォーマット
  1. DCPの構成要素
  2. DCPで使用される画像のフォーマット
  3. DCPで使用されるオーディオフォーマット

①DCPの構成要素

MXFでラップされた、少なくとも最低2つのファイルで構成されています。

MXFでラップされている最小限のファイルは、ムービーデータとオーディオファイルです。

この他、再生シーケンス情報として提供されるコンポじっションプレイリストなどがXMLで構成されています。

②DCPで使用される画像のフォーマット

DCPはJPEG2000フォーマットにより、連番で構成された画像ファイルの連番再生により映像を表現しています。

カラースペースがXYZカラースペースという、通常よくあるRGBではない点に注意です。

③DCPで使用されるオーディオフォーマット

オーディオファイルは、48khz、または96khzのサンプリングレートが使用されます。

量子化ビット数は24bitです。

最大16チャンネルの独立した音源を利用可能です。

DCPの容量

DCPの容量は規格で250GBまでと決まっている

DCPはおおよそ200GBから250GB未満で作成されます。

映画の内容によっては、100GBくらいまで圧縮できてしまうものなので、データ容量が小さくなってもあまり心配はありません。

また、250GBギリギリの容量に敢えて設定することも出来ますが、シネマサーバーによってはインジェストエラーになるので、圧縮後の容量を設定できるソフトを使用する場合には、230GBくらいをMAXにしておくのが無難です。

納期があまりに短くて、DCPのコピー本数が多かった時に納品したら圧縮率を高くしているのでは?

なんていう質問もかつてはありましたが、黙ってそういうことはしないと思います。

DCP制作の料金

デジタルシネマパッケージの相場や値段

DCPを格納するのに使用するメディア代金は別ですが概ね

  1. 個人に頼むと5万円〜10万円
  2. 中堅どころで10万円〜15万円
  3. 大手スタジオで20万円〜

くらいになります。

価格はDCPマスタリングだけの値段です。

今後は営業窓口も引き継いでいきますが、筆者も以前はDCPラインを2ライン持っていて、DCPマスタリングを行っていました。

現在は、映画製作や映像加工で事業化したいという方に、起業のサポートを含めてDCPマスタリングのノウハウを提供し、2021年03月に独立した形で起業をしてもらえました。

関連リンク:DCP制作【デジタルシネマパッケージ】|価格感付き | 参考サイト : L blog

筆者が設定している価格は、HDDやUSB込みで5万円(120分前後)くらいとかなり安いのですが、実際の流れで重要なカラーグレーディングDCPマスタリングはセットでおこなった方が色の品質管理が可能なので、予算によって判断が必要です。

また、DCPマスタリングだけの制作をお願いすると、映像尺やオーディオチャンネル数でも価格が大きく変わります。

デジタルシネマパッケージの作り方

デジタルシネマパッケージの作り方とそのプロセス

デジタルシネマパッケージの作り方はとてもシンプルになりました。

下記の手順で行うことができます。

  1. OpenDCPを入手する
  2. 映像素材を24Pに整える
  3. 音声素材を24bit/96khzに整える
  4. OpenDCPで変換する
  5. DCP-o-matic PlayerでQCを行う

これだけの動作で完成させることができます。

デジタルシネマパッケージとは?

デジタルシネマパッケージの基本的なことは、こちらの記事でも紹介をしています。

デジタルシネマ劇場の全体イメージ

数年前のDCP制作事情

DCPは、ほんの2~3年前までは本編の編集を終えてからDCP化するのに作品一本あたり数十万円から百万円近くするような物でした。

当時、日本の映画監督はこのDCPマスタリングの予算が製作予算に大きく影響する悩みを抱えていました。

DCPの実演公演

そんな中、日本の映画作品をもっと世界に発信して活性化できたらとの願いを込めて、試行錯誤をしては様々な施策を行っていました。

2016年02月に、当時では珍しかったDCPデータをプロジェクターベースではなく、普通のテレビで試写を行えるようなシステムを構築しました。

また、DaVinci Resolve(無料版でも十分にフィニッシュまでもっていけるスゴイ編集ソフトです。)をベースにしたDCP化する前のデータの整え方から、自分でDCPに変換する方法までを劇場で公演する機会をいただきました。

実際の劇場でDCPを制作しながら上映までをその場でやるという、おそらく世界初?日本初?のようなことを経験できたことはとても貴重なことでした。

費用をかけずにDCPを制作する環境

完成した作品を費用をかけずにDCPに変換する方法は主に2種類あります。

今回は主の2つのソフトを紹介します。

  1. OpenDCP
  2. DCP-o-matic

上記の二つのソフトは無償でコンテンツデータをDCPに変換できるソフトです。

OpenDCPについては、下記の記事で制作方法を紹介しています。

OpenDCPを作る編集室

DCP-o-maticについては、また別の記事で書かせていただきます。

まず、DCPを作成してみるにはOpenDCPを使用した方が早く知見を得ることができます。

いちばんの課題だったDCPの再生環境

課題だったDCPの再生環境

その他にも様々なパッケージソフトがありますが、今回の記事でお伝えしたかったのは、少し前まではDCPを制作した後の再生チェックできる環境は、無償版ではなかったのです。

「DCPを作成した/DCPの納品をしてもらった」としてもそれを簡単にチェックすることができませんでした。

そのために、確認用にわざわざ変換したデータをまたQC用に戻して(解像度変換したりしているため)DCP変換後に再度チェックをやったりしてまた修正!!など、双方にとって余計な作業が発生したりしていました。

DCPは再生できるようになった

今では、DCP-o-matic Playerなどを用いてDCPを再生できるようになりました。

変換が完了したDCPデータをこのプレイヤーにセットすれば、QC(Quality Check)が可能となります。

この辺りは、映画の予告編レベルなどの場合だと自分で再生環境を構築してチェックしたい作品進行担当者の方が多いです。

実際に無料で使えるDCP Playerを用いてQCを行った事例を書いたブログ記事がありますので、こちらの記事がお役に立てば幸いです。

関連記事:OpenDCPでデジタルシネマパッケージを制作する方法

DCPの納品フォーマット

DCPの納品フォーマット

QCを自分の所で行うには、予告編レベルの物であればセキュアなファイル転送でDCPデータを送ってもらってもいいし、USBをFAT32でフォーマットしてもらって受け取れば、Linux環境でなくとも簡単にDCPデータを扱うことができます。

予告編レベルの小さいデータはFAT32のフォーマット環境でも納品ができるのでDCP-o-matic Playerで最終的なQCを自分のPC環境で行うこともできます。

劇場にDCPを納品する

DCPは、劇場への納品形態にも変化が起きています。以前はDCP Kitという、大きなケースにCRUカバーを添付して、HDDと合わせて納品する形式が一般的でした。

現在は一般的に購入できるHDDでも受け付けてもらえるようになりました。

DCPをUSBで納品する

DCPは、USBに格納して劇場に納品することが可能です。

現在、USBは大容量化されて本体の値段もかなり安価になりました。

本編データを納品する場合にはUSBをextフォーマットにする必要がありますが、予告編レベルであればUSBをFAT32のまま運用することが可能です。

USBは大容量でもかなり安くなったので、今後もUSBでの運用が増えていきそうですね。

デジタルシネマパッケージで使用するUSBのイメージ

DCPをHDDで納品する

少し前までは、DCPはCRUカバーを添付して劇場に納品するのが普通でしたが、現在は一般販売されているHDD製品でも受け付けてくれるようになっています。

劇場へのDCP納品は本編データの容量の場合はLinuxのフォーマット(ext)で進行するので通常はなかなかデータを簡単に取り扱うことができません。

デジタルシネマパッケージで使用するHDDのイメージ

DCP(デジタルシネマパッケージ)の情報まとめ

DCP(デジタルシネマパッケージ)の情報まとめ

DCP関連の内容をまとめた記事を作成しました。

こちらの記事を読んでいただければ、デジタルシネマパッケージに関する様々な情報が確認できます。

デジタルシネマパッケージの情報をブログで書いていく

この記事を読んでいる方は、ほとんどの方が放送・映画業界に関連している方だと思います。

デジタルシネマパッケージの情報は少なく、映像制作分野でも、このあたりのプロセスに関する情報をまとめたブログサイトを作成すれば、大きく収益化できる可能性があります。

収益化のパターン
  1. ブログサイトから直接案件を集客する
  2. ブログサイトにアフィリエイト広告を貼る
  3. Googleアドセンスを運用する
  4. デジタルシネマセミナーなどの開催
  5. 技術オンラインサロンの同時開設

DCP(デジタルシネマパッケージ)というテーマでも、充分に集客や収益化は可能で、ブログの育ち具合によっては独立できます。

関連記事:起業アイデアを成功させるためのコンテンツビジネスモデルを解説!【保存版】

筆者の三男(開設当時は小学4年生)も自分でブログを立ち上げましたが、現在はそれくらいブログが簡単に解説できるようになっています。

関連記事:ブログが簡単に作れる!サーバー&WordPressテーマ組み合わせ3選!

また、ブログは会社ではなく、絶対に自分のブログとして立ち上げてください。

独立したりするときに自分で積み上げたコンテンツは、自分の物として所有しておかないと結構苦労します。

関連記事:会社に依存しない生き方を実現するための方法を分かりやすく解説

ユニコブログ®ConoHa WINGレンタルサーバーで運用しています。

WebサイトデザインのテーマにはSTORK19を利用しています。

ABOUT US
小林 玲王奈ユニコーンコンサルティング株式会社 代表取締役

起業して法人化した初期の頃は、自分と同じく起業する人や、スタートアップ企業と事業の共同立ち上げ立ち上げを中心に活動していました。

現在は、Webメディア運営を中心に、Webアプリの開発、キャラクターデザインからのLINEスタンプ制作やLINE絵文字等の販売及び、3DCGによるコンテンツ制作事業としてAR(拡張現実)やVR(仮想現実)、MR(複合現実)向けのプラットフォームへコンテンツ提供を行っています。

公式ブログサイトのユニコブログ®では、「会社の収入だけに依存しない生活を実現する」ことをテーマにブログ記事を書いたり、無償でブログ運営を始める人のサポートを行っています。

主な経歴としては、2003年から放送及び映像業界向けの様々な新規事業立ち上げを15年以上担当していました。

2014年からは、会社員として働きながら経営/メディアコンサルティング業を開始して、2020年01月に法人化し、ユニコーンコンサルティング株式会社を設立しました。

現在、公式として公開しているユニコブログ®以外にも、数十サイトの特化ブログ型Webメディアや、サイト型Webメディアを運用しています。

全て同じサイト構成、ブログ記事構成、文章構成など、検証可能な範囲で仕様を合わせてみて、収益を出すのに再現性があるか?などを試行錯誤している日々です。

また、当ブログ内でピックアップしているレンタルサーバーとWordPressテーマ、プラグインの組み合わせや相性を検証する日々。合わせて、WordPressテーマのカスタマイズやブログパーツ、プラグインなどの開発を手伝っています。

所有資格や認定ライセンスとしては、SMPTE Professional Engineer Member、一般社団法人 日本ポストプロダクション協会認定 映像音響処理技術者などを所有しています。デジタル認定証についてはプロフィール詳細から確認できるようになっています。

著書 : 『保存版 売上を向上させるためのYouTube活用術』

教育関連でも複数の教育機関で定期的に講演を行っています。主な活動実績としては、2020年度と2021年度の 学校法人調布学園 田園調布学園 中等部・高等部「豊かな教養を培う 未来へつなぐ土曜コアプログラム『探究』」にて空中ディスプレイコンテンツ制作及びWebサイト制作の特別講師を担当。

2022年度は土曜プログラム(マイプログラム)『仕事最前線』での講演などになります。

2023年以降は、オンライン講演での活動が多くなっています。

著述家 / ブロガー兼コンテンツクリエイター

ユニコブログ®運営者のプロフィール詳細

ユニコーンコンサルティング株式会社の公式サイト