デジタルシネマパッケージは費用をかけずに自分で作成することが可能です。
特に予告編などの尺の短い制作物については作業負荷が少ないため、DCPへの変換を手軽に行うことができます。
- DCP制作は簡単になった
- 費用をかけずにDCPは作れる
- DCPの制作や再生環境の紹介
目次
デジタルシネマパッケージの意味
デジタルシネマパッケージ(digital cinema package)は、略称でDCPと称されています。
映画館で利用されていた35mmフィルムに代わり、デジタルデータでの上映を目的として作られた映画コンテンツを格納しているデータフォーマットの事です。
DCPの構成要素
MXFでラップされた、少なくとも最低2つのファイルで構成されています。
MXFでラップされている最小限のファイルは、ムービーデータとオーディオファイルです。
この他、再生シーケンス情報として提供されるコンポじっションプレイリストなどがXMLで構成されています。
DCPで使用される画像のフォーマット
DCPはJPEG2000フォーマットにより、連番で構成された画像ファイルの連番再生により映像を表現しています。
DCPで使用されるオーディオフォーマット
オーディオファイルは、48khz、または96khzのサンプリングレートが使用されます。
量子化ビット数は24bitです。
最大16チャンネルの独立した音源を利用可能です。
DCPの容量
DCPはおおよそ200GBから250GB未満で作成されます。
映画の内容によっては、100GBくらいまで圧縮できてしまうものなので、データ容量が小さくなってもあまり心配はありません。
納期があまりに短くてDCPのコピー本数が多かったので圧縮率を高くしているのでは?なんていう質問もかつてはありましたが、黙ってそういうことはしないと思います。
DCPの値段
DCPを格納するのに使用するメディア代金は別ですが概ね
- 個人に頼むと5万円〜10万円
- 中堅どころで10万円〜15万円
- 大手スタジオで20万円〜
くらいになります。
価格はDCPマスタリングだけの値段です。
実際の流れとしては、カラーグレーディングとDCPマスタリングはセットでおこなった方が色の品質管理が可能なので、予算によって判断が必要です。
また、DCPマスタリングだけの制作をお願いすると、映像尺やオーディオチャンネル数でも価格が大きく変わります。
デジタルシネマパッケージの作り方
デジタルシネマパッケージの作り方はとてもシンプルになりました。下記の手順で行うことができます。
- OpenDCPを入手する
- 映像素材を24Pに整える
- 音声素材を24bit/96khzに整える
- OpenDCPで変換する
- DCP-o-matic PlayerでQCを行う
これだけの動作で完成させることができます。
デジタルシネマパッケージとは?
デジタルシネマパッケージの基本的なことは、こちらの記事でも紹介をしています。
数年前のDCP制作事情
DCPは、ほんの2~3年前までは本編の編集を終えてからDCP化するのに作品一本あたり数十万円から百万円近くするような物でした。
当時、日本の映画監督はこのDCPマスタリングの予算が製作予算に大きく影響する悩みを抱えていました。
DCPの実演公演
そんな中、日本の映画作品をもっと世界に発信して活性化できたらとの願いを込めて、試行錯誤をしては様々な施策を行っていました。
2016年02月に、当時では珍しかったDCPデータをプロジェクターベースではなく、普通のテレビで試写を行えるようなシステムを構築しました。
また、DaVinci Resolve(無料版でも十分にフィニッシュまでもっていけるスゴイ編集ソフトです。)をベースにしたDCP化する前のデータの整え方から、自分でDCPに変換する方法までを劇場で公演する機会をいただきました。
実際の劇場でDCPを制作しながら上映までをその場でやるという、おそらく世界初?日本初?のようなことを経験できたことはとても貴重なことでした。
費用をかけずにDCPを制作する環境
完成した作品を費用をかけずにDCPに変換する方法は主に2種類あります。
今回は主の2つのソフトを紹介します。
上記の二つのソフトは無償でコンテンツデータをDCPに変換できるソフトです。
OpenDCPについては、下記の記事で制作方法を紹介しています。
DCP-o-maticについては、また別の記事で書かせていただきます。
まず、DCPを作成してみるにはOpenDCPを使用した方が早く知見を得ることができます。
いちばんの課題だったDCPの再生環境
その他にも様々なパッケージソフトがありますが、今回の記事でお伝えしたかったのは、少し前まではDCPを制作した後の再生チェックできる環境は、無償版ではなかったのです。
「DCPを作成した/DCPの納品をしてもらった」としてもそれを簡単にチェックすることができませんでした。
そのために、確認用にわざわざ変換したデータをまたQC用に戻して(解像度変換したりしているため)DCP変換後に再度チェックをやったりしてまた修正!!など、双方にとって余計な作業が発生したりしていました。
DCPは再生できるようになった
今では、DCP-o-matic Playerなどを用いてDCPを再生できるようになりました。
変換が完了したDCPデータをこのプレイヤーにセットすれば、QC(Quality Check)が可能となります。
この辺りは、映画の予告編レベルなどの場合だと自分で再生環境を構築してチェックしたい作品進行担当者の方が多いですね。
DCPの納品フォーマット
QCを自分の所で行うには、予告編レベルの物であればセキュアなファイル転送でDCPデータを送ってもらってもいいし、USBをFAT32でフォーマットしてもらって受け取れば、Linux環境でなくとも簡単にDCPデータを扱うことができます。
予告編レベルの小さいデータはFAT32のフォーマット環境でも納品ができるのでDCP-o-matic Playerで最終的なQCを自分のPC環境で行うこともできます。
劇場にDCPを納品する
DCPは、劇場への納品形態にも変化が起きています。以前はDCP Kitという、大きなケースにCRUカバーを添付して、HDDと合わせて納品する形式が一般的でした。
現在は一般的に購入できるHDDでも受け付けてもらえるようになりました。
DCPをUSBで納品する
DCPは、USBに格納して劇場に納品することが可能です。
現在、USBは大容量化されて本体の値段もかなり安価になりました。
本編データを納品する場合にはUSBをextフォーマットにする必要がありますが、予告編レベルであればUSBをFAT32のまま運用することが可能です。
USBは大容量でもかなり安くなったので、今後もUSBでの運用が増えていきそうですね。
DCPをHDDで納品する
少し前までは、DCPはCRUカバーを添付して劇場に納品するのが普通でしたが、現在は一般販売されているHDD製品でも受け付けてくれるようになっています。
劇場へのDCP納品は本編データの容量の場合はLinuxのフォーマット(ext)で進行するので通常はなかなかデータを簡単に取り扱うことができません。
DCP(デジタルシネマパッケージ)の情報まとめ

DCP関連の内容をまとめた記事を作成しました。
こちらの記事を読んでいただければ、デジタルシネマパッケージに関する様々な情報が確認できます。
DCPに使えるメディア情報
業務Tips
- デジタルシネマパッケージのデータ構造を初心者向けに分かりやすく解説
- デジタルシネマパッケージ制作業務「7つのポイント」
- デジタルシネマパッケージ制作のポイントを解説
- DCPでインジェストエラーが出たときの原因と対処法を解説
- デジタルシネマパッケージのDCPネームを解説
DCP作成
DCPの作り方まとめ