少し前までは、プロジェクションマッピングは壁や物体に照射して演出するだけの物でした。
しかし、最近はモーションセンサーが豊富になり、その組み込みも簡単になってきました。
プロジェクションマッピングは、インタラクティブに美しい表現をすることを簡単にできるようになっています。
本記事では、有名なプロジェクションマッピング演出をしている企業の紹介や、簡単な検証環境を安く構築する方法を紹介していきます。
目次
まだまだ伸びていくプロジェクションマッピング市場! !

みなさんがご存知の通り、最近はプロジェクターを使用した体験型コンテンツが至る所に設営されるようになりました。
大規模な演出が設営され、様々な場所で来場者を楽しませるイベントが各地で増えています。
映像制作会社やイベント運営会社だけでなく、以前は見向きもしなかった様々な業界もこの流れに乗る形になり、様々な表現方法を実験して、自分たちの独自の広告サービス価値を生み出すために日々チャレンジをしています。
プロジェクションマッピング技術を利用したイベントやコンテンツ開発は、需要に対してまだまだサービス提供できる会社が少ないのが実情です。
このセグメントには事業成長のチャンスがものすごくある分野でもあります。
ハイレベルなプロジェクションマッピングを展開している会社

これらの技術を用いた最先端の演出をしている会社を2社ほど紹介させていただきます。
teamLab
とても素敵なインタラクティブプロジェクションマッピングの演出でユーザーを楽しませてくれる演出をしている会社です。
各地で行われるイベントにはほぼ出向いて体験してきましたが、いつもあっという間に一日が終わってしまうほど楽しませてもらっています。
Rhizomatiks
こちらも物凄い演出技術で様々なアーティストやイベントなどのコラボでインタラクティブプロジェクションマッピングを展開している企業です。
ライゾマティクスの方とは、10年くらい前から何度かやりとりをさせていただいたことがありますが、持ち合わせている高い基礎技術にはいつも驚きと感動が多かったです。
リアルタイムインタラクティブとなると途端にハードルが上がる
プロジェクションマッピングは、ただ対象物に光を当てて演出するだけの構造なら、使用するソフトウェアはGrandVJやMadMapperを使用してコンテンツを制作していくだけなのでそれほど難しくないのです。
しかし、リアルタイムに何らかのユーザーのアクションに対して反応するようにしたり、ゲーム性を持たせたりとなると途端に難易度が上がります。
その理由は、インタラクティブな体験価値を高度に体験してもらおうとすると、先述したソフトウェアなどに加えて、Unityなどでゲームアプリ開発並みの負荷がかかってきます。
プロジェクションマッピングソフトウェア

プロジェクションマッピングで利用されるソフトウェアを5つ紹介します。
MadMapper
MadMapperは、大規模なイベントでよく使われる人気のマッピングソフトです。
GrandVJ
GrandVJもPCとプロジェクターだけで簡単に複数画面制御などができるマッピングソフトです。
Projection Canvas
こちらも様々なイベントで利用されているマッピングソフトウェアです。個人向けには「BRIGHT JAM」というラインナップがあります。
キーワード : Projection Canvas
紹介先のサイトがSSLを導入していないため、キーワード紹介になります。
Millumin
After Effectsとの連携で好評なのが、Milluminです。
Resolume Avenue
Resolume AvenueはAvenue社のVJソフトウェアです。ライブビジュアルパフォーマンスに特化した機能構成になっています。上位のラインナップに「Arena」があります。
社内での検証環境構築は難しかった
以前は、この辺りの演出となると、Kinectを利用した物が多かったですが、現在では様々なモーションセンサーが発売され始めています。
実装方法やスペックの把握はけっこう煩雑で、このプロジェクションマッピング市場に参入するのを諦めてしまい、この部分を案件を受けたときにはやはり「今できる会社」に運営をお願いしてしまっているところも多いのではないでしょうか。
検証環境の構築

今回の記事では、難しいインタラクティブプロジェクションマッピングを手軽に構築することをゴールにしています。
実際の検証環境の構築イメージを書いていきます。
簡易的な検証環境の構築
新しい事業を確立させて適切な利益を得るためには、アウトソーシングから自社内でコアのノウハウを溜めていきつつ、各分野のプロと共創をしていくのが重要なポイントです。
まずは簡単な環境を整えつつも、見た感じは少し派手に見えるような簡単なインタラクティブプロジェクションマッピング構成を組んでみるのも面白いです。
- PC(WinでもMACでも。:USB3.0のインターフェイスとHDMIは必要)
- プロジェクター(理想はLGの超単焦点LG PH450UG以上ですが、とりあえずはピコプロでも)
- 赤外線式タッチフレーム(AMAZONで55inchの「55inch 10点マルチタッチ」あたりでOK)
上記のパターンはAmazonで買い揃えて10万円未満で構築可能です。
物品の準備ができて組み立てると下記の図のような構成図になるはずです。
(プロジェクタの投影位置とフレームがぴったり合わさるようにしてください。)
構築イメージ

ここまで準備ができてしまえばあとは超簡単です。
Webには無料で射的や金魚すくいなどのお祭り系ゲームなどフルブラウザで遊べる物がまだあるので、タッチフレームを使って遊んでみてください.
この方式だと、コンテンツはHTML5で作れるので、Unityなどで開発するよりは負担が軽くなります。
体験価値の向上はアイデア次第
この環境で提供したいサービスのイメージを掴み、HTMLベースで組める機能や体験を検証してもらうだけでも新しいサービス作りのきっかけになります。
おもちゃのクッションnerf(ボールタイプ)などがあればもっと面白い体験環境も作れます。
この辺りの演出は、ARやMRと技術を組み合わせると息の長い体験型コンテンツの構築が可能になります。
空中ディスプレイ技術と組み合わせるとさらなる体験価値向上もユーザーに提供することが可能になります。
空中ディスプレイについては、こちらの記事で紹介しています。
本記事が新規事業のきっかけになれば幸いです。
手軽に透過型プロジェクションマッピングを楽しむ

最近(2020年05月)は、いろいろなところで透明アクリル板やクリアシートを見かける様になりました。
プロジェクションマッピングでいろいろやっていた身としては、そういうのを見かけるとなんでもプロジェクターを当てたくなってしまいます。
インタラクティブなものを含めて、プロジェクションマッピングはお手軽に楽しめるものがたくさんあります。
透過系のプロジェクションマッピングは演出効果が高いので、簡単に紹介しておきます。
- 紗幕
- アクリルパネル
- 農ポリ
それでは、ひとつずつ解説していきます。
紗幕
数年前から紗幕を使っての演出がかなり多くなってきました。
リリックビューで有名なアーティストのライブなどでも利用されている素材です。
紗幕での実験は、千円台で実験でできるのでいろいろ試してみると面白いです。
手軽に
アクリルパネル
プロジェクションマッピング用のアクリルパネルやパネル貼付用フィルムは、たくさんの企業から出ていますが高価なものが多いです。
遊び程度で実験する場合は最初は乳白色の下敷きなどで十分に実験することができます。
農ポリ
農業用ポリエチレンシートでも、透過系のプロジェクションマッピング演出は気軽に環境構築が可能です。
参考リンク : ポリッドスクリーン
農ポリと簡単なフレームを組むだけで、あまり費用をかけずに子供が喜ぶおうち遊びも可能になります。
家でインタラクティブプロジェクションマッピング
農ポリでインタラクティブプロジェクションマッピング環境を構築をして遊んでいる画像です。

構築環境
- 農ポリ
- ホームセンターで売っているパイプと農業用タッカーで作成したフレーム
- できれば超単焦点プロジェクター
- PC(Unity環境をインストール)
- Leap Motion(上の画像のコンテンツは、LeapMotionのサンプルコンテンツです。)
農ポリと農業用タッカーフレーム
ポリッドスクリーンパーツリストのリンクはこちらです。
参考リンク : ポリッドスクリーン パーツリスト
上記のリンクに、推奨の農ポリシートも記載されています。
超単焦点プロジェクター
実際にイベントで使用した超単焦点プロジェクターを紹介します。
スペックはそれほど高くないのですが、これでも充分に使えます。
理想のプロジェクターとしては下記のプロジェクターです。
PC(Unity環境をインストール)
PCはWin、Macのどちらでも良いのですが、筆者の場合はWin環境で組み立てています。
また、STBの場合はBrightSignを利用しています。
Leap Motion
センサーはLeap Motionなどが手軽に利用できます。
この他にもKinectやneonodeなどのセンサーも活用できます。
プロジェクションマッピングの照射範囲や、センサー精度によって使い分けてください。
小さい範囲であればAirbarが結構使える
大きい照射範囲で環境を作るのはなかなか手間がかかります。
小さい範囲であればLeapMotionとピコプロジェクターでも、子供たちが喜ぶようないろんなコンテンツを作ることが可能です。
Airbarとは
上記の商品です。
上から机などに向けて、13.3inchの16:9アスペクトに合わせて、カラフルなパネルキーボードをプロジェクションマッピングしておき、Airbarを机などの端に据えておけば、何もなかった机の表面に楽器を作ることが可能になります。
プロジェクションマッピングを応用していく
プロジェクションマッピングに合わせて、イベントでは空中ディスプレイによる体験コンテンツも増えてきています。
プロジェクションマッピングは、昨今はよく設置されるようになったアクリル板に当てる事でそこにディスプレイを作ることも可能になります。
ついたてを設置する際は曇りタイプにして、後でプロジェクションマッピングを応用できるように設計をしておくのも有効です。
新しい技術をどんどん取り入れて、イベント業界を盛り上げていきましょう。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。