最近は、収録済みの動画や音声配信をする他に、ライブ配信で視聴者と同じ時間を過ごしながらコンテンツとして配信するスタイルも増えてきました。
ライブ配信が出来るアプリや大規模なプラットフォームは次々と増えていて、筆者自身もゲーム実況をしたり、バーチャルアバターを用いてライブ配信を行っています。
例えば、ゲーム実況以外のフリートーク的なテーマの場合、最近は
など、仮想現実というVR(Virtual Reality)の空間でライブ配信をしています。
そんな中、ある程度ライブ配信を続けていると、どうしても気になるのが近隣への騒音と、ライブ配信中に入ってくる外部から入ってくる環境音や雑音です。
騒音問題はトラブルになる前に対策しておきたいところ
この辺りの騒音問題は、トラブルが起きたときに自分が起こしていた騒音のレベルによっては、解決にかなりのコストを必要とする状況になっていることがあります。
それらの問題を避けるためには、本来、ライブ配信で生じる音に対しては適切な防音や吸音環境を天井、壁、床に施す必要があります。
けれど、筆者のように個人レベルでライブ配信を行う上で、しっかりとした防音環境を用意するのは、正直かなり難しいです。
人気の配信者になれれば、予算をかけてヤマハのアビテックスのような部屋in部屋を作ってやっていきたいのですが、筆者の場合は不可能なので、簡易的に騒音・防音対策を手作りで作成して、必要に応じて組み立てる感じのモノを作成しています。
騒音に基準はあるのか?
ライブ配信の品質を高めるために、音質などにこだわるところから始めたいところですが、まずは、近隣への騒音を意識して対策をする必要があります。
騒音に関しては、環境省がWebサイトで騒音に係る環境基準についてというページを作成しており、筆者の場合それを参考にしています。
騒音基準ギリギリを目指すのではなくて、ライブ配信スペースと外部の音環境をコントロールできれば、そのままライブ配信の音質改善に繋がるので、手作りながらも色々なモノを組み合わせて試しています。
騒音対策を手作りで行うときのポイントは3つ
15年以上、放送や映像、映画に関わってきた身として、外部に音が漏れないようにするための防音や吸音については、本来必要な検査や施工を知っている分、環境によって施工内容も変わるし費用もバラバラです。
今現在、本格的にライブ配信をするときにまだ予算がなくて、それでも騒音問題などを起こさないように相談を受けたときに、筆者が手作りで作っている防音・吸音環境では、以下の3つをポイントにして、たまに一緒に作ったりしています。
手作りの防音・吸音環境を作るためのポイント3つ |
---|
1 手作りの防音・吸音環境を作る範囲 |
防音・吸音環境を作る範囲は、ライブ配信などをする機器や自分も囲んだ大きさにします。BOX型で天井と周りの壁を作っていく中で、完全に全ての面を囲んでしまうと換気の問題が出てきてしまうので、状況によって後ろの面は取り外しの出来る「面」だけを作って対応します。 |
2 床はシンプルに防音マットなどを敷く |
床はシンプルに防音マットを購入してライブ配信環境機器などがある全体に敷きます。以前に比べると厚みのある防音マットはかなり安くなっているので、敷ききってしまいましょう。 |
3 低音域の音は小さくする |
簡易的な防音・吸音環境は、どうしても低音域の音対策に弱いという部分があります。高音域に関しては割と対策できますが、低音域の防音対策は中々難しいものがあります。なので、ここは少し我慢というところで、手作り環境で防音・吸音対策をしている間は、低音域の音をカットするような設定を心がけるのが、低音域対策を徹底するよりシンプルです。 |
騒音対策をするために防音や吸音構造を手作りする
これまでの部分を踏まえて、手作りの防音・吸音環境を作っていきます。
- あまりお金を必要としない
- 作りやすい防音・吸音構造面
- 組み立てが出来るようにする
上記3つを意識して作っています。
後ほど、対策無しの状態の音量と、手作り防音・吸音パネル環境での比較の数値を、音の大きさの単位、dBで表記しますが、音の発生源を完璧に塞いで利用することは出来ないので、環境によって結果が変わることは了承ください。
騒音対策に利用する防音と吸音パネルの構造
手作りの防音・吸音パネルの構造を解説します。
仕組み自体はとても簡単です。
内側から順番に記載していきます。
基本的に、この3層構造です。
更に念を入れる場合は、プチプチ層の上に、更に防音パネルの基材として発泡スチロール板などを組み合わせるのですが、各資材の大きさ合わせが難しくなるので、費用対効果を考えると、3層プチプチか、発泡スチロールを基材にした3層構造で良いかと考えています。
防音や吸音パネルを作るために便利なのが養生テープ
先ほど紹介した3層構造のパネルを貼り合わせるために使うのが、20年以上、筆者が大工さんをしていた頃からお世話になっていた養生テープです。
仕事でも趣味や工作で使うときにスゴく便利なテープです。
各資材の大きさを整えて接着となると大変なので、各資材、大きさだけ合わせたら四辺を養生テープで留めてしまえば簡単です。
プチプチ(緩衝材)は3層を選ぶのが重要
プチプチ(緩衝材)は3層を選ぶのが重要です。
3層構造のプチプチは二重サッシの中間空気層に当たる部分になります。
2層構造だと、使っているウチに空気が閉じ込められている部分のプチプチがどんどん潰れて言ってしまいます。
3層構造だと、両側にプチプチを包むシートがあり、これだけでも簡単にツブれなくなります。
基材になる段ボールは厚みがあると工作で作業しやすい
防音・吸音パネルの真ん中に当たる段ボールですが、利用する段ボールは厚みのある方が作業がしやすく、また、長持ちもするのでオススメです。
パネルの1面に使用する段ボールの厚みは選べる中から一番厚いものにしておきましょう。
騒音対策パネル(手作り)の防音効果
必要なパネル数を作ったら、あとは繋げていくだけです。
筆者の場合、手作り防音パネルの中に閉じこもるわけには行かないので、1ヶ所だけは何もくっ付けていない防音・吸音パネルを1枚だけ作って、温度や換気の状況で少しだけ塞いだりみたいな感じで使っています。
絶対に完全密閉するのは避けてください。
騒音対策パネル(手作り)の防音効果を測定するアプリ
本当は、専用の測定機器で計測をしたいところですが、今回のテーマは「なるべく費用をかけない」という部分もあるので、無料で利用できるアプリを使用します。
筆者は主にiOSヲ利用していて、そのアプリケーションの中にSonic Tools SVMというアナライザーがあるのですが、無料で使えるアプリの中でも、このアプリは高機能です。
- ピークボリュームのホールド機能
- 時間軸ベースでの計測機能
- 周波数帯域の視覚UI設定が豊富
簡単な操作で、上記3つの機能を使いこなす事ができるので、騒音対策前と防音・吸音パネルを作った後の音を数値で比較して測ることが可能になります。
Androidバージョンについては、無料で利用できて、音量だけ計測して比較するアプリなどがたくさんあるので、それで比較するのが良いと考えます。
どれくらいの音量が出ているのか計測
実際に手作りの防音・吸音パネルを使用した場合と、使用していない場合の音量を計測してみます。
筆者の場合、ライブ配信は自宅だったりオフィスだったりするので、今回は筆者以外も利用しているオフィスのほうで計測しました。
音量の計測の条件は以下の通りです。
- 防音・吸音パネルは4面、床にも防音マット
- 計測位置はライブ配信中の筆者の背中から1mの距離
- 配信している部屋はライブ配信機器以外何も置いていない
ちゃんと計測するには、まだ不十分な環境なのですが、概ねこんな感じです。
騒音対策を何もしない場合の音量計測値
アプリの画面をそのままキャプチャして載せることが出来ないのですが、筆者の場合、防音対策を何もしないで、ゲーム実況やフリートークのライブ配信によって計測されたピークボリューム(音量の最大値)は66.47dBもありました。
相当はっちゃけて配信をしている様です。
この場合、オフィスの上下左右、外では、最初に紹介した、環境省がWebサイトで騒音に係る環境基準についてというページ内の、どの基準値もオーバーしているので当然に対策をしなければなりません。
防音・吸音パネルを組み立てて設置した場合の音量計測値
今度はいつも使っている手作りの防音・吸音パネルを使って、パネルを外した状況と同じハイテンションのまま、ライブ配信をします。
この時の計測値はピークボリューム(音量の最大値)は44.39dBです。
壁1枚を通して離れた場所から計測したときにはピークボリューム(音量の最大値)が32.47まで下がったので、騒音にはならないレベルまで下げる事ができました。
騒音は音域や内容によって個人の感じ方が違うので要注意
今回紹介した手作りの防音・吸音パネルを組み合わせてボックスの様に作って対策をしても、重低音の音域だったり、音色によって、また計測結果が変わってきます。
騒音問題は、近隣住人がうるさいと感じたら、計測した環境基準があるとはいえトラブルになってしまう問題です。
最近は、騒音問題に悩まされる側の情報も集まっており、先ほど紹介した計測アプリなどを使って継続的な記録をとり、要件を揃えてアクションを起こすことも可能です。
気軽に楽しくライブ配信が出来るようになってきている中、このような騒音トラブルになってしまっては大変です。
本記事で紹介している手作りの防音・吸音パネルは、資材もあまり高いモノではなく、それほど作るのも難しくないように即席で作れるように考えてきて出来上がった作り方です。
現在、ライブ配信を始めて収入を得る方法は、以前に比べたら考えられないくらい安いコストで実現できる状況になっています。
だからこそ、この辺りの対策をしっかりしつつ、より品質の高いライブ配信の音声機材に予算を回せるようにしていきながら注目されるチャンネルやインフルエンサーを目指して長く活動できる体制を整えて行きましょう。
そして、いつか予算をかけて、アビテックスのような部屋in部屋を手に入れて、本業に出来るくらいまでを目指せれば楽しいと考えています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。