デジタルシネマパッケージ(DCP)を制作するシステムの中で外せないプロセスとして、DCPマスタリングされて完成したデータ群の構造をチェックするためのバリデートチェック(バリデーター)機能が用意されていることが多いです。
しかし、この機能は、デジタルシネマパッケージ(DCP)マスタリングが可能なソフトやアプリケーション群、サードパーティ等で必ずしも用意されているものではありません。
例えば、無料でデジタルシネマパッケージ(DCP)制作ができるOpenDCPにはバリデーターがないので、完成したDCPが正しく構成されているのか確認する手段がありません。
目次
DCPのバリデートチェックはベリファイとは違うのか?
無料でデジタルシネマパッケージ(DCP)のマスタリングまで利用できるDCP-o-maticのアプリケーション群にあるDCP-o-matic Playerなどもありますが、これはベリファイまでの機能でバリデーターの機能まで含んだものではありません。
ベリファイは、デジタルシネマパッケージが問題なく再生できるかどうかのデータチェックをしているだけの機能になっています。
厳格にDCI*1で定められた仕様や規格までをチェックする場合は、やはりバリデーターとしての機能を持っているアプリケーションなどでバリデートチェックをする必要があります。
DCPのバリデートチェックでは何を検証しているのか?
デジタルシネマパッケージ(DCP)のバリデートチェックでは、主に以下の3つを検証しています。
- メタデータ関連の構文チェック
- 命名規則等のテキストチェック
- 画像(連番ファイル)や音声等が規格に準拠しているかなどのチェック
これらのバリデートを行なっています。
基本的に、どのバリデーターでも3種類の結果が表示されます。
- 問題なし(または「成功」とも表示される)
- 警告
- エラー
の3つです。
エラーの場合は、エラー内容の詳細を確認して必ず修正が必要です。
警告が出た場合、内容によってはインジェストでエラーが起きない場合もありますが、どのシネマサーバーでは問題なくて、どのシネマサーバーだとエラーなのか判断が付かない*2ので、基本的には「警告」についても修正対応をして、「問題なし」という結果が出るまで対応をします。
DCPのバリデートチェック結果は必ず保存しておく
DCPのバリデートチェックが完了すると、マスタリングに使用したシステムや、その他のアプリケーションによって若干の違いはありますが、バリデートした内容の詳細レポートが出力できるようになっています。
これらのレポートは、劇場公開される映像作品のデータが色々なところで利用される過程で何か起きた時に、その原因を考える時の大事なレポートになります。
基本的にレポートはテキストで構成されたデータなので容量的にも小さなものです。
また、筆者の場合はバリデートチェック後のレポートを印刷して、デジタルシネマパッケージ(DCP)を格納したメディア媒体に添付して梱包していました。
バリデートをしておくことで安心して劇場のシネマサーバーにインジェストできる
デジタルシネマパッケージ(DCP)のマスタリングをした後に、バリデートのチェックまでを行なっておくことで、劇場にDCPが格納されたメディアが届いてからインジェストする時にエラーが起きることは稀*3なので、基本的にデータの移動がスムーズに進みます。
インジェストの作業は、納品先になる劇場の方々が行う作業なので、デジタルシネマパッケージ(DCP)制作及びマスタリングをする段階でしっかりとバリデートチェックまで行い、問題ないことを確認してから劇場へ発送することで手間を少なくできるので、無料のDCPマスタリングソフトを利用した場合でも、バリデートだけは行うようにしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
関連記事:劇場上映用デジタルシネマパッケージ(DCP)がよく分かる情報まとめ
DCPのバリデートチェックに関する脚注や出典および参考情報の一覧
- ABOUT DCI|Digital Cinema Initiatives, LLC ↩︎
- ある程度の把握はできますが、相当数の検証が必要になるので「警告」に関する内容は基本的に全て修正対応したほうが良いです。 ↩︎
- DCPでインジェストエラーが出たときの原因と対処法を解説|ユニコブログ®︎ ↩︎