デジタルシネマパッケージで使える字幕データの作り方を解説

デジタルシネマパッケージの字幕を作成するイメージ

今回は、デジタルシネマパッケージの字幕の作り方について書いていきます。

デジタルシネマパッケージの字幕は、字幕ソフトやアプリケーション、また利用しているバージョンやフォントタイプなどによって出力するときに気を付ける部分が変わります。

利用するフォントについては劇場上映用に利用して良いフォントライセンスが明記されているか、事前に確認しておくようにしましょう。

また、これからDCPマスタリングを始めてみたいという方は、先にこちらのデジタルシネマパッケージをわかりやすく解説から読み進めていただければより分かりやすくなります。

デジタルシネマパッケージ制作では、日本語フォントのデータを、そのままマスタリングデータ内に組み込むとエラーが表示されます。

これは、ほとんどの場合「フォントデータの総容量が大きすぎる」というようなニュアンスで表示されていると考えます。

映像に字幕を焼き付けて対応しているだけの場合、画の修正があるたびに、映像データをJPEG2000にするところまで工程をもどさなければなりません。

このため、本記事では日本語フォントの圧縮であるフォントコンプレッションについても解説しています。

しかし、本記事の内容は劇場上映用に利用できるすべてのフォントで検証できているわけではないので、実際には試写上映をしてQCを行っていただくのが良いと考えています。

これまで、デジタルシネマパッケージの制作で字幕は焼き付けのみだけ対応してきたというような、字幕の取り扱い方を広げていきたい人の、お役に立てば幸いです。

字幕の付け方は何種類?

デジタルシネマパッケージの字幕の付け方は大きく分けると2種類になります。

映像に焼き付ける

編集ソフトの機能で言うとBurn-inと言います。

DCPマスタリング自体は、現在はそれほど難しい業務ではなくなってきているので、字幕焼き付け限定でのサービス提供をしているところが増えてきているのが現状です。

焼き付けのメリット
  1. 従来の方法と変わらないので、オペレーションのやり方は変わらない
  2. DCPを受注する時に、焼き付け指定にすればトラブルが少ない
  3. バリデートチェックする際のデータ構造がシンプルなのでQCをしやすい

しかし、実際の作業で考えると、字幕の修正などが発生すると、工程の最初から(JPEG2000変換)になるので、入稿される字幕データのクオリティーによって何回もやり直しが発生する原因にもなります。

これは請負側からすると、とても負荷の大きいものになります。

DCPの字幕セットを作成する

これは、DVDやBlu-rayで言うサブタイトルレイヤーと一緒です。映像データと字幕のデータは全く別のレイヤーとして表示され、再生されます。

しかしながら、このDCPの字幕については、日本語のフォントデータをそのまま使用するとDCIの規格に収まらないデータ容量になってしまって使えないと言うことがありました。

字幕のフォントに対して、該当データで使用している「文字」だけを切り出すサブセット (DCPではフォントコンプレッションと言います)の作成を可能とするソフトの検証が中々進まなく、フォントコンプレッションソフトもメーカーの統廃合により購入できなかったのが実情です。

字幕データの書き出しは、ほとんどのところでは、カンバス社のG1を使用しているのではないでしょうか。

もし、G1環境がないと言う状況であれば、Subtitle Editというソフトもあります。

まずは、それを使用して字幕テキストの入力から、スポッティングまでを行って下さい。

G1ではDCI規格に準拠したXMLファイルによるエクスポートのライセンスを購入することで使用できます。

Subtitle EditもDCIに準拠したXMLデータの書き出しが可能です。

どちらのデータも、DCPマスタリングソフトによって取り込みとパッケージ化が可能ですが、ここで出てくる問題が、本記事冒頭で紹介した「日本語フォントデータの総容量」の問題です。

デジタルシネマパッケージ制作の環境として、easyDCPなどを利用している方は、バリデートチェックの行程で使用している日本語フォントをそのまま組み込んでいるとサイズエラーが出ます。

関連記事:DCPのバリデートチェックとは?劇場で安心して上映するためのチェックプロセスを解説

ここで、フォントコンプレッションが出てくるのですが、現在、DCPマスタリングに特化したフォントコンプレッションソフトが新規に買えない状況にあるというのが現状です。

日本語フォントのサブセットを作る方法は、それほど難しくありません。

サブセットの作り方は数多くあるのですが、DCPマスタリングにおいて、実際にいろいろなシネマサーバーで検証してインジェスとエラーが起きなかった環境で利用したソフトは、以下のリンクから入手可能です。

武蔵システムのWebサイト

ここに所定のテキストデータ(とにかく「文字情報」だけをまるっと流し込んでください:字幕ソフトからXML構文はいらない書き出しを選択)と日本語フォントのデータを入れて書き出すと、日本語フォントデータ内から、インポートしたテキストデータで使用されている文字のみが書き出され、日本語フォントデータの容量がかなり小さくなります。

このフォントデータとフォントコンプレッションで使用したテキスト情報のあるXMLデータをDCPマスタリングソフトに組み込んでみて下さい。

縦字幕やルビなどついては、都度検証が必要になりますが、通常の字幕だけの場合、DCPマスタリングできる状況になります。

DCPにおける字幕データ関連の検証は大変ですが、DCPの字幕データを取り扱えるようになるとDCP事業の幅が広がりますので、是非、チャレンジしてみて下さい。

DCP(デジタルシネマパッケージ)の字幕に関連した情報まとめ

DCP関連の内容をまとめた記事を数多くのブログ記事で作成しています。

こちらの記事を読んでいただければ、デジタルシネマパッケージに関する様々な情報が確認できます。

これらの記事がお役に立てば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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ユニコブログの執筆者である小林玲王奈のアイコン
小林 玲王奈ユニコーンコンサルティング株式会社 代表取締役

放送業界や映画業界で映像制作や新規事業の立ち上げを中心に16年間働いて2019年に独立。2020年1月にユニコーンコンサルティング株式会社を設立しました。現在は、国内・海外向けのWebメディアを複数サイト運営しながら、経営コンサルタントとして数社の技術顧問、及び複数の教育機関で特別講義をおこなったり、Web講演をしています。|BBT経営塾(旧:大前経営塾)第10期生 卒塾

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