筆者は、放送や映画に関わる業界に15年以上いました。
製作委員会やインディペンデント系、映画監督の方々が初めて発表する映画に立ち会って感動を共有した思い出や海外買い付けでの出張等々。
色々ありましたが今回は映画の思い出話ではなくて、2019年から2020年くらいから、中古ドメインのトピックに分類されるであろう、ある現象が目に見えて起きてくるようになっています。
- 映画の公式サイトで使われたドメインが放置されている
- 探すと該当するドメインがまだ残ってしまっている事実
- 映画製作や配給及び宣伝会社としてできること
中古ドメインとなって放置されたプレミアムなドメイン

それは、小規模の買い付け中心の映画配給会社から、製作委員会を取り仕切る大手製作・配給会社を含めて、宣伝用に用意する映画の公式Webサイトが閉鎖されて、そのまま期限切れドメインとなり、復元可能期間を過ぎて、いまだ放置された独自ドメインがそのまま被リンクを受けている状態ということです。
もし、この記事を読んでくれている方が映画や放送などの映像制作関係者であったら、これまで関わった作品を確認してみていただければ幸いです。
映画の公式サイトで使われたドメインが放置されている

特に2020年以降、多くなっている模様です。
映画業界が大不況に陥る事態もあり、筆者自身も少なからず、起業してから影響を受けているので、管理が行き届かなくなるのでしょうがないのかも知れません。
映像メーカーとして作品の公式サイトページを作るとき
映画に限らず、ドラマやアニメ製作etc…など、コンテンツを公開するための体制には色々な種類があるため、全てには適用できませんでしたが、これは、筆者が請け負った場合の、映画の公式Webサイトを作る時のURLの作り方です。
映像コンテンツ会社で取り扱っている映画が色んなキーワードで表示されるようになる方法|ユニコブログ®
- メインのドメイン→『***.com』がある
- 映画関連のサービスを立ち上げる→『movie.***.com』を作成する
- 映画作品毎にサブディレクトリを作成する→『movie.***.com/***(映画の作品名URL)』
これは、本記事のテーマでいう、コンテンツが公開されてから時間が経ってもドメイン放置問題が起きないようにするための対策で行っていました。
映像コンテンツは、10年から20年という期間を走り抜ける物もありますが、中には、20年くらい蔵入りしていて、また光を浴びたりするモノもスゴく多いです。
コンテンツの公式Webサイトは運営方式でバラバラになっているのが現状
特に、その時に公式Webサイトを制作していたとき、ドメインがいつの間にか切れていて、別の人が取得していたという事があってから、なるべく上記のようにURLをつくったり、製作委員会などでは会社ごとで窓口権をそれぞれ持ったりしているので、
- 映画はA社
- グッズはB社
- アニメはC社
のように、それぞれが独自ドメインを取得して個別に公式Webサイトを制作したりする背景もあります。
その時、筆者がお手伝いする時はドメイン保全のルールを作ったりするのですが、製作委員会方式については、都度、やり方も、文化も違うのでバラバラです。
運営に関わっていた担当者がいなくなったときに引き継がれないことが多い
意外と多いのが、運営方式によっては、コンテンツ展開が終わって会計報告も終わりかけになる頃に、各会社の担当者が部署異動になったり辞めてしまう場合です。
この時、映画宣伝会社に全て依頼をしている場合でも、運営してWeb展開していたプラットフォームの情報が、全て引き継がれていないことがあったりします。
公式サイトのドメインが全く関係のない運営者のWebサイトに生まれ変わっている実態

自社で、過去に扱った映画の公式Webサイトが独自ドメインだった場合、一度確認して見た方が良い場合があります。
コンテンツ作品は様々なデータベースに記録されていることが多い
その公式サイトのURLが記載されていて放置されているSNSアカウントや、コンテンツデータベースになっているWebサイトでのリンク状況などは再度確認して把握をした方が良いと考えています。
あくまでも一例ですが、これがどういうことなのかというと、映画やドラマ、アニメなどの公式サイトで利用する独自ドメインとURLは、下記のように
- Wikipediaに作品情報ページに詳細情報が記載されており、URLも公式Webサイトへリンクされている
- IMDb*1のデータベースに公式Webサイトとして登録されている
- プレスリリースされて話題になったコンテンツの場合は多くの場所で公式サイトとしてリンクが貼られている
等の事実があります。
現在の中古ドメインにおけるSEOに関連したメリットやデメリットについては、本記事で省きますが、純粋にコンテンツを広めるためだけに綺麗に運用されたドメインであることが多いと思われるので、そういう意味ではペナルティーを受けているドメインではない可能性が高い…。と考えています。
ドメインを取得して関連のあるWebサイトが運営されていた場合
公式サイトは基本的に映画名を半角英数字で取得したドメインです。
なので、その放置されてしまった映画の公式サイトのドメインを取得されてしまって、取得者が、たまたま運営しようとしたWebサイトとテーマやジャンルが同じだった場合、最初は収益化させないで、とはいえ、Webサイトをスタートダッシュ的に運営する方法があるのも事実です。
ドメインと著作権や商標登録
ドメイン、著作権、商標登録における取得時の注意時点などは、独自ドメインを取得する前に押さえておきたいところですが、実際のところ、現在のレンタルサーバーは、独自ドメインの取得からWebサイト開設まで、CMS(コンテンツマネジメントシステム)も使いやすくなったこともあって、慣れている人なら1時間くらいでWebサイトデザインのベースまで完成させて、Webで公開することが可能です。
実際、ドメインと著作権、商標登録の関係性以外にも、これら著作権関連は作品自体に絡んで留意すべきことは色々あるので、過去に映画の公式サイトとして利用していたドメインが全く関係の無い第三者にいつの間にか取得されていた場合、考えなければいけないことがたくさんでてきます。
実際のところ、ドメインと商標権の問題については事例がたくさんあっても、商標登録がされていない文字列でのドメインについては、対応するには色々な苦労が起きることも事実でてきます。
これは、映画だけではなくて、当ブログのように情報発信Webサイトにも同じ事が言えます。
映画の製作や配給及び宣伝会社としてできること

以前は、映画業界関係者しか登録できなかった「.film」*2などの限定ドメインも、登録資格が必要なくなって誰でも取得できるようになってしまったし、とはいえ、この中古ドメインに関して、多くの人達で作り上げた作品のドメインが期限切れによって全く違うサイトで運用されているのも、ちょっと悲しいところではあります。
色々と対策を考えてみたのですが、「.co.jp」のような限定ドメインでないと難しいのが正直なところなので、コンテンツに対するドメインに関してのポリシーを見つけていくしかありません。
例えば、インディペンデント系の買い付けが多い映画会社の場合は、本記事で紹介したサブドメインとサブディレクトリの使い分け*3をしたり、映画やアニメの製作委員会*4などの場合は、『コンテンツ名.film』を中心に運用するルー*5ルにするなどの運営規約を設けて、ドメインによって違いあれど、ドメインの最大登録年数*6を過ぎた場合の対応と費用負担ルールを定めておくのが良いと考えています。
映画やドラマ、アニメの公式サイトやゲーム、若干話がそれますが、有名人が運用していた独自ドメインなどは、多くの言及があったり、非常に権威性の高いWebサイトからの紹介等、被リンクの数がすごい数にもなるので、単に中古ドメインとなってしまうには、あまりに感じるモノが色々とあります。
これからは、コンテンツに関わる大事な資産として、最初のコンテンツ制作プロセスから考えておくべき部分となっていけば良いなと考えています。。
以前の一社自身における経験に加えて、最近も少し似た事例が増えきたので、状況と対応策などを書いてみました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。