シン・レンタルサーバーは、WordPressに強いレンタルサーバーとして、2021年5月にリリースされました。
シン・レンタルサーバーのどのような機能が、WordPressを速くしているのでしょうか。
また、システムに導入されているKUSANAGI(くさなぎ)とは、どのような技術なのでしょうか。
この記事では、シン・レンタルサーバーがWordPressに強い理由や、スピードを速くする仕組みについて、分かりやすく解説していきます。
WordPress専用レンタルサーバーとは?
WordPress専用サーバーとは、その名の通りWordPressで使われることを目的としたサーバーのことです。
実際に専用サーバーは処理速度の高速化、WordPressで快適にサイトが使えるよう、安定性やアクセス耐性を高めています。
意外かもしれませんが、シン・レンタルサーバーは WordPress専用サーバーではありません。
後述しますがシン・レンタルサーバーに搭載された、高速化技術KUSANAGIはWordPress用にチューニングされていますが、シン・レンタルサーバーが特に「WordPress専用サーバー」との説明はありません。
エックスサーバー株式会社のリリースするレンタルサーバーのうち、はっきりと「WordPress専用サーバー」をうたっているのは、wpX Speedだけです。
WordPress専用サーバー | wpX Speed |
WordPressを含む最新のプログラムに対応したサーバー | シン・レンタルサーバー |
シン・レンタルサーバーは、WordPressを含む最新のプログラムに対応したサーバーとしてリリースされています。
以前は、「wpX」という名前がサービスに入っていて、エックスサーバー株式会社が運営するブランドとして、以下3つのサービスの総称などが展開されていました。
現在は、エックスサーバー株式会社のグループ会社である、シンクラウド株式会社と共に、「wpX」と「シン」、また「エックス〇〇」の3つをブランドの軸にして展開されています。
- シン・レンタルサーバー
- wpX Speed
- シン・ブログ
1〜3のサービスについて、それぞれの特徴を紹介します。
シン・レンタルサーバー
シン・レンタルサーバーは、X SERVER(エックスサーバー)をベースに開発されたレンタルサーバーであり、最新の高速化技術を搭載しています。
具体的には、WordPress実行環境を高速化する「KUSANAGI」によって、従来のエックスサーバーよりも、ハイスピードでWordPressが使える環境をつくりあげました。
シン・レンタルサーバーにおける「WordPressのブラウザ表示スピード」は、エックスサーバーの中では最速ですが、シン・レンタルサーバーはWordPress専用サーバーではありません。
シン・レンタルサーバーは、WordPressを含む10個のCMSに対応したレンタルサーバーサービスであり、他のエックスサーバーにはない、最新鋭の技術を盛り込んでいる点に「新しさと違い」があります。
シン・レンタルサーバー|公式サイト
wpX Speed
wpX Speedは、WordPress専用のクラウド型レンタルサーバーです。
接続インターフェース「NVMe(エヌブイエムイー)」を採用し高速での接続を可能に。
キャッシュを使わずWordPressサイトを高速化する安定化機能など、新たな技術を導入しています。
ここまで説明すると、「シン・レンタルサーバーとwpX Speedはどちらが速いの?」と疑問を持つ方は多いでしょう。
エックスサーバーの調査では、シン・レンタルサーバーが最速で、次いで速いのがwpX Speedとしています。
筆者が利用してみて、最終的にスマホなどの端末でWebサイトを閲覧する体感速度は、「シン・レンタルサーバー、wpX Speedはほとんど同じ」といった印象です(もちろん、検証環境によって変わります)。
ただ、シン・レンタルサーバーとwpX Speedの容量や月額料金を比較すると、シン・レンタルサーバーの方が容量は大きく、月額費用も安く設定されているのは、誰の目にも明らかな「違い」に映るでしょう。
Webサイトを運営する上での快適度は、どちらも素晴らしいですが、月額料金、容量を比べてもシン・レンタルサーバーはコストパフォーマンスの高いサービスだと理解できます。
なおシン・レンタルサーバーの場合には、複数のプランや料金体系があります。
詳細は下の記事にて、分かりやすくまとめておきました。
ぜひプラン選びの参考にしてみてください。
シン・ブログ
シン・ブログは、エックスサーバーが使えるWordPressのサービスです。
特にスピードが速い、容量が大きいといった特徴はありませんが、日記代わりにしたり、個人商店やスモールビジネスの情報発信などに活用されています。
シン・ブログとは?
シン・ブログには大きなデメリットがあります。
まずシン・ブログで作ったサイトには、自動で他社の広告が挿入されてしまいます。
また動画や写真のアップロード容量も「最大3GB」までしかなく、画像を多く使うと、通常のブログ運営やWEBサイト制作に支障が出てしまいます。
シン・ブログのデメリット
シン・ブログの上位版として、シン・ブログ【PRO】というサービスもあるのですが、広告は消せるものの1ブログにつき動画や写真の容量は30GBまで。
しかも、作れるブログの数も10個までと制限があり、月額528円(税込)と金額的には、シン・レンタルサーバーと代わらない料金体系です。
無料のシン・ブログに比べるといくつかのメリットはありますが、長い目で見ると「どうかな…?」と、導入には若干…躊躇する部分があります。
収益化を見込んだブログ、WEBサイトの運営であれば、やはりWordPressのスピードが速く、スタンダードなレンタルサーバー
などを使う方が良いでしょう。
シン・レンタルサーバーでよくないか?
先に紹介したシン・ブログよりも、シン・レンタルサーバーであれば、WordPressのスピードが速いし、カスタマイズも可能なので、GoogleやYahoo!検索などで上位表示させるために行える施策の範囲は変わります。
また従来のレンタルサーバーに比べても、最新機能が導入されており、ブログやWEBサイト運営が「安全かつ快適に使える」機能がフルに搭載されています。
コストをかけずに快適な環境を手にするという意味で、シン・レンタルサーバーを選ぶのは賢い選択と言えるでしょう。
シン・レンタルサーバー|公式サイト
シン・レンタルサーバーKUSANAGIの特徴
シン・レンタルサーバーには、高速化技術KUSANAGIが搭載されています。
KUSANAGI(くさなぎ)の特徴をまとめてみました。
- WordPressの高速化
- 高速化機能を標準搭載
- セキュリティにも強い
1〜3の内容をさらに詳しく解説します。
WordPressの高速化
KUSANAGIは、WordPressを高速化するためにチューニングされた仮想マシンとそのイメージであり、実際にKUSANAGIを導入したサイトは、PHPやMySQLなどのWordPressの処理を最適化し、WEBサイトの高速化に成功しています。
高速化プラグインを標準搭載
本家のKUSANAGIには、高速化プラグインが標準搭載されているのですが、シン・レンタルサーバーはすでに、KUSANAGIの高速化技術がすでに組み込まれており、(KUSANAGIとは異なる)全く新しいレンタルサーバーとしてリリースされています。
セキュリティにも強い
実際にどのような機能が搭載されているのか、詳しい情報は出ていませんが、KUSANAGIはもともと【高速、安定、セキュリティの高さ】を売りにしているため、シン・レンタルサーバー版も同様に、高いセキュリティ能力を発揮することでしょう。
さらに公式に紹介されている機能として、不正アクセスからサイトを守るWAFや、ネットワークの脆弱性を診断するセコムセキュリティ診断サービスがあります。
ここまでの内容をまとめると、シン・レンタルサーバーにもKUSANAGI同様に、【高速、安定、セキュリティの高さ】が再現されていることが見えてきますね。
本家のKUSANAGI技術
これまでのKUSANAGIは、Webシステムを含むミドルウェアパッケージの仮想マシンイメージで、サーバー仮想化環境で動作していました。
なお新しいKUSANAGIは、正式名称を『KUSANAGI Runs on Docker』といい、WEBシステムを構成する個々のミドルウェアは、Dockerコンテナイメージとして提供されています。
【メモ】コンテナとは?
OSを取り巻く環境は共通して使用されますが、アプリケーションが使用するCPU、メモリー、ファイル、プロセス空間は、別のまとまった「コンテナ」として管理されます。コンテナには、そのコンテナに必要なファイル群が格納されており、関連するファイルのみがコンテナに格納されています。
KUSANAGIの仕組み
「仮想マシン」とは、コンピュータのハードウェアをソフトウェアの形で再現するエミュレーターのこと。
エミュレートとは日本語で「模倣、疑似」といった意味を持ちます。
仮想マシンの役割は、コンピューターの中にソフトウェアのような環境を作り、それをサーバーにインストールし、パブリッククラウドなどでユーザーが利用できるようにすることです。
パブリッククラウドとは、インターネットを介して、幅広いユーザーや企業にクラウドコンピューティング環境を提供するサービスのことですが、一般的に仮想マシンをサーバーにインストールしてユーザーに提供しています。
ユーザー側は、仮想マシンにいろいろなものを入れて使うことができますが、KUSANAGIでは、これらの仮想マシンをすべて「使えるイメージ」にまとめて提供しています。
シン・レンタルサーバーで使われるKUSANAGIとは?
シン・レンタルサーバーに、KUSANAGI技術が使われていますが、前項で紹介した本家KUSAMAGIとは異なり、KUSANAGI特有の機能などは、コントロールパネルやプラグインに可視化されていません。
シン・レンタルサーバーは、VPSで使用するKUSANAGIとは異なり、独自に開発されたKSUANAGIと考えて良いでしょう。
プライム・ストラテジー社の概要
ここでKUSANAGIや、エックスサーバー株式会社とシン・レンタルサーバーを開発した、プライム・ストラテジー社の概要をまとめてみました。
プライム・ストラテジー社の概要 |
---|
社名 |
プライム・ストラテジー株式会社(英文社名:Prime Strategy Co.,Ltd.) |
代表者 |
代表取締役 中村 けん牛 |
設立 |
2002年12月 |
所在地 |
東京都千代田区内神田1-2-2 小川ビル10F |
事業内容 |
クラウドインテグレーション事業、KUSANAGI の開発と提供 |
ホームページ |
Prime Strategy|公式サイト |
プライム・ストラテジー株式会社の代表 中村 けん牛氏は、人気ブログ『ジャカルタで働く社長のブログ』のブロガーとしても広く知られています。
KUSANAGIを採用しているレンタルサーバー
KUSANAGIを採用しているレンタルサーバーにつきましては、シン・レンタルサーバーのほかにはConoHa VPS、さくらのVPS、CPI仮想専用サーバー(VPS)プランなどの種類があります。
関連記事:VPSとは?バーチャルプライベートサーバーについて実例をもとに分かりやすく解説
シン・レンタルサーバー以外は、主にVPSを利用したプランでのKUSANAGI利用になっているので、Webのインフラ構築の知識が多少なりとも必要になります。
その点、シン・レンタルサーバーは基本機能のインフラとして組み込まれているのが魅力的です。
シン・レンタルサーバーと比較されやすい、ConoHa WING(コノハウィング)の特徴やおすすめポイントは、以下の記事にて詳しく解説しています。
レンタルサーバー関連の記事では、とても反響のあった記事のひとつです。
シン・レンタルサーバーとどのような点が異なるのか、ぜひレンタルサーバー選びの参考にしてみてください。
シン・レンタルサーバーのKUSANAGIインストール方法
シン・レンタルサーバーに、 KUSANAGIをインストールしたり、設定することは何もありません。
なぜならシン・レンタルサーバーには、すでにKUSANAGIが搭載されているからです。
唯一の違いは、実際にスピードテストなどでサイトの表示スピードを測るまで分からないでしょう。
ただWordPressを動かしてみて、動作や表示スピード、処理能力の速さは比較的体感しやすく、上位のプランになればなるほど、速度の違いは明らかになります。
シン・レンタルサーバー KUSANAGIでよくある質問
シン・レンタルサーバーの「KUSANAGI」について、よくある質問を集めてみました。
シン・レンタルサーバーのWordPress関連機能
シン・レンタルサーバーのうち、「WordPressに関連」する機能を集めてみました。
WordPressを使ったブログやWEBサイトを作成される方は、どのような機能が使えるのかチェックしてみてください。
WordPressに関連する機能(スペック) |
---|
WordPress簡単インストール |
〇 |
WordPress簡単移行 |
〇 |
ログイン試行回数制限 |
〇 |
国外IPアドレスからのアクセス制限 |
〇 |
大量コメント・トラックバック制限 |
〇 |
国外IPアドレスからのコメント・トラックバック制限 |
〇 |
なお以下の記事では、シン・レンタルサーバーにWordPressを導入する方法について、詳しく解説しています。
Webサイト高速化技術のKUSANAGIが組み込まれたシン・レンタルサーバー
シン・レンタルサーバーのベースはエックスサーバーを使用していますが、WordPress高速化技術KUSANAGIを導入し、さらに魅力あるレンタルサーバーとして進化しているのはうれしいですね。
今回の検証により、シン・レンタルサーバーはWordPressの表示スピードが速く、容量などのスペック面でも満足でき、月額料金もリーズナブルと三拍子揃ったレンタルサーバーであることが分かりました。
レンタルサーバー選びでお困りの方は、ぜひ今回の検証結果を参考にしてください。
シン・レンタルサーバー|公式サイト
また、本記事で紹介したレンタルサーバー以外のサービスについても、筆者自身が実際に利用してWebサイトを運用しているレンタルサーバーの特集記事などもありますので、こちらも参考になれば幸いです。