今回は起業するときの「準備編」に近い内容を書いてみようと思います。
起業=法人化ではありません。
しかし、法人化することで得られるメリットは多種あり、「個人事業主」から「法人成り」をするとき、または始めから法人化して事業を始めるときには、しっかりと前準備をしておけば、資金調達においてもかなり選択肢が広がります。
また、起業について少しでも思い立ったら、それからはプライベートとビジネスで流れるお金をきちっと別々に管理しておくことで、資金繰りや税務調査などの対応にもしっかりと出来るようになります。
筆者自身、また、筆者が法人を作って事業の立ち上げを手伝い時に整えるテンプレートパターンを公開して、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。
目次
起業して法人化するメリットは?
先ほども紹介したように、起業=法人化ではないのですが、事業を始めから法人化して運用することで様々なメリットが享受できます。
具体的な税制や法律などについては専門化の方々に任せるとして、経営者の立場として以下のメリットがあります。
日本政策金融公庫からの創業融資については、個人か法人かについては明確に有利・不利がわからないので言及できないのですが、それ以外にも
- 個人口座と法人口座を分けることでお金の流れが管理できる
- 事業の立ち上げ時にありがちな、契約周りを法人として一括管理できる
- 資本政策は重要注意事項なので安易に行う事は避けたいですが、株式発行による資金調達も可能になる
- 事業によっては、研究・開発で有効に働く助成金申請などの申請できる種類や金額が法人枠のほうが多い
- 事業が育っていく過程の中で、法人化している方が組織化しやすい
等々、これ以外にも法人かして事業を立ち上げるメリットはスゴクたくさんあるのですが、これらは実際に体験としてやってみないと言葉で説明するには膨大な文章量になってしまう部分もあるので、その辺りはちょこちょこと子記事扱いで少しずつ書いていこうかなと思います。
起業して法人化する時のデメリットは?
起業して、事業立ち上げですぐに法人化するときのデメリットと言えば、それは税金周りのことだと思います。
特に最初の1年目は、特に個人事業主の場合だった時と比べてしまいがちですが、2~3年目で事業が軌道に乗ってくると、法人化して多くの業務が発生してくるときの流れがテンプレート化されるので、正直、筆者の場合はメリットのほうが大きくて、あまりデメリットは強く感じていません。
筆者もそうでしたが、起業すると当事者として強いプレッシャーがかかり、最初は身体の負担も大きい所がありますが、着実に事業を積み上げていけばいくほど法人化するメリットも増えてくるので、是非、法人化して事業立ち上げをしてみましょう。
起業するときに準備出来ているとプラスに作用する内容
これは、筆者自身もそうでしたし、筆者が起業から法人化、事業の最初の立ち上げ部分を手伝うときに準備する態勢が前提になっています。
スタート時からの資金調達の方法や、事業のスケールの仕方によってやり方、そして、起業するまでの準備期間などによって、やりかたは全然変わってくることを先にご理解いただければ幸いです。
起業する時に、まずは小さく始めることを想定して書いていきます。
まず、筆者の場合、起業、法人化して事業を立ち上げを手伝うときに、タイミングによって下記の3つの準備を進めます。
- 預金口座(通帳)の作成と使い分け
- 顧問税理士、社会保険労務士、顧問弁護士を決める
- 日本政策金融公庫の融資申込みに必要な創業計画書を作り込む
上記の3つは、十分な運転資金と設備投資や開発資金を得ることで、事業成長に集中できる環境を作るために大事な部分になりますので、当ブログ(ユニコブログ®)内にある他記事とかなり内容が被る部分がありますが、ここでもしっかり書いていきます。
起業の前にやっておくと便利な預金口座(通帳)の作成と使い分け
「起業するには?会社の設立方法や資金調達をする方法を分かりやすく解説」の中で、初期投資や運転資金の調達や準備に付いて少し解説しているのですが、その中でも預金通帳の作成と使い分けがどこから出来るかは、かなり重要と考えています。
具体的には、以下の3つに分けていきます。
- 普段生活使いの通帳
- 起業時に利用するための貯蓄通帳(起業時には立て替え精算等もココから使います)
- 創業初期に発生する売上や支払いなどの資金繰り用(②の貯蓄通帳から当面必要なキャッシュフローの資金繰りや、会社設立時の資本金振り込み用などに利用します。)
合計、3つの通帳を作成しておき、特に②の起業時に利用するための貯蓄通帳に起業時に必要になる資金を少しでも貯めておくことを推奨しています。
起業に必要な原資を貯めておく
実際問題として、資本金を1円とかで法人設立することも可能なのですが、後に説明する日本政策金融高からの創業融資や銀行融資、そのほかにもBtoBでビジネスをする場合に、何かと信用を得にくい部分は否めません。
なので、少しでも起業時に法人設立するときの資本金になるお金は、貯めておくことをオススメします。
筆者が起業した当初、近い将来に事業の立ち上げて独立をしたいという方がいて、その方を手伝ったときには、すでに副業で事業の骨子になる部分を進めていたので、すぐに預金通帳の使い分けを始めてもらいました。
特にこの辺りは、何かと資金調達をする上で計画的に起業や事業の成長に向けて準備していたという事実の裏付けになるための重要な部分になるので、可能な限り進めておきたいところです。
創業時から個人投資家やVC等と会社設立、資本政策(計画)が有る場合などは、自分が保有しておきたい資本比率分まで貯めておくことを推奨します。
法人口座が作成できた時に立替精算するときの金額や用途が理解しやすい
後に法人化して法人口座を作成した際に、立て替えていたお金を精算するときにも上記のような口座の使い方をしていると、用途や内容などが簡便に見える化できるのでオススメです。
法人口座が出来た後も、しっかりと現金・資金管理をして行きながら事業を運用して成長させていくことが重要なのですが、時には色んな対応もしなければなりません。
経験上、起業したばかりの頃に色々使用したお金管理がしっかり出来ていると、現金実査を行うようなことが後であっても、帳簿と実際のお金とのズレが起きないので意識しておくと良いと考えています。
私生活のお金と起業に関わるお金を分けておく
何度も繰り返しになりますが、起業・独立、法人化までの未来を考えたなら、なるべく早く預金口座(預金通帳)の使い分けを始め、具現化するまでの具体的な活動を始めましょう。
筆者の経験上、1番あやふやになりやすいのが、私生活とビジネスに関わるお金の用途や使い道などについてです。
法人化するまでの業種、業態によっては、この辺りはかなり煩雑になることが多いです。
法人化した際には
- 税理士
- 社会保険労務士
- 弁護士
お三方には特にお世話になります。
その中でも、法人口座を作るまでは何かと顧問税理士の方とはお金の流れや期首から期末までの流れ、法人としての税に関わる様々な内容について、教えてもらいながらお金の流れ方を把握する術を学びます。
その時に、私生活の口座と事業の流れが混じっていると、両者とも分かりにくくなってしまいます。
そのためには、起業資金を貯めるための副業なども含め、とにかく会社員としての給料など、私生活とそれ以外のお金の流れをきっちりと分けて把握できるように心がけるようにしましょう。
この時の『意識と「やりくり」』は、後に法人設立と法人口座(通帳)ができて、事業を運営するときに役立つスキルとなるので、予備練習のつもりで進めていくと良いと考えています。
筆者が起業して法人化した当初に利用した、お金周りのアイテムとして金庫周りは下記を利用しています。
参考商品:アイリスオーヤマ 金庫 SBX-B5
基本的に、個人的な物と会社の物を1つの金庫などにしまっておくのはオススメしないのでちゃんと分けておきましょう。
参考商品:SORASION パスポートケース 家計管理 ケース クリアファイル 【 リフィル 6枚 付き 】
ちょっとした部分では有るのですが、これも起業や会社設立当初は個人のモノと会社の物がごちゃごちゃになりやすい所もあるので、始めのうちから物理的に仕切って管理する場所も分けておくと便利です。
ビジネス用の電話番号を用意する
特に法人化をしたときに、何かと必要になるのが電話番号です。
筆者が法人を設立したとき、設立や法人口座を作るときなど、携帯電話(スマホ)の番号でも大丈夫だったのですが、許認可関係の申請や、法人格で何らかの協賛をするときなど、申請フォーマットによっては、会社の電話番号として、固定電話番号が必要になり。、携帯電話(スマホ)ではない番号が必要なルールになっていることがあり、例外処理が出来なくて、必要になる場合があります。
筆者の場合は、03plusという、固定電話番号をスマホのアプリで着信や発信が出来るサービスを利用して対応しました。
基本的にはメールやビジネスチャットサービスの準備だけで良いのですが、上記のように何か許認可や加盟をするときなどに、どうしても必要になる場合があるので、必要に応じて利用しましょう。
起業時に顧問税理士、社会保険労務士、顧問弁護士を決める
これは、絶対でなくとも良いのですが、筆者が起業や事業立ち上げを実行する時には、かなり初期段階で進めていきます。
特に、特別資金調達において事情がなければ、日本政策金融公庫の創業融資制度を活用した資金調達実績の多い、顧問税理士から探します。
筆者が法人化したときには、匠税理士事務所と顧問契約をして創業時の支援を行ってもらいました。
この辺りの、起業時、特に法人設立時の原資の多さやパートナー選びは、事業を立ち上げるにあたって、かなり大事な部分になるので、自分と合う感じの先生達か、よく考える必要があります。
この他、特に起業時には
- 顧問税理士との資金調達と事業に関わる費用と事業見込み
- 社会保険労務士との役員報酬や保険加入などの打ち合わせ
- 顧問弁護士との企業名などにかんする商標登録などの準備
をしっかり進めておいた方が良いため、会社設立と合わせて同時並行で進めていきます。
「商標登録の申請まで必要があるのか?」ということもよく言われますが、コレについては、筆者が会社員時代だったころは、多くの知的財産に関わる業務を行っていたこともあり、このあたりの他社で起きるトラブルなどについてもよく見かけることが多かったので、なるべく起業時に商標登録の申請を行ってもらうように話をしています。
また、起業や会社の設立時は多くの大事な書類を常時そばに置いていて、必要なときにすぐに取り出せるようにしておいた方が良いので、地味な部分ではありますが、各種書類、小分けで絶対に紛失しないように入れておきましょう。
参考商品:コクヨ クリヤーブック キャリーオール 固定式 背ポケット A4 20ポケット
事業が大きくなってきた場合も、組織的に管理担当の方がいないと、すぐに煩雑になるので、この辺りのクリアケースとかその辺りは、最初の内にルールを作ってしまった方が良いです。
日本政策金融公庫の融資申込みに必要な創業計画書を作り込む
筆者は、特別事情が無ければ創業者の株式保有率は2/3以上を保有することを強くオススメします。
細かい話については、会社や事業の方向性で大きく内容が変わるのですが
資本政策は戻れない
を強く肝に銘じて覚えておくと役立つ機会が来るかもしれません。
このあたりの基本的な知識については下記の書籍がスゴく分かりやすいと考えています。
参考商品:この1冊ですべてがわかる 経営者のためのIPOバイブル(第2版)
出版年度は2017年の書籍ですが、上場をする予定がなくても、株式保有率の重要性や資金調達をする際に気をつけることが分かりやすく書いてあります。
話しが少しそれてしまいましたが、上記のようなことから、なるべく株式発行による資金調達を初期から行うのは避けたいところです。
したがって、筆者としては基本的に日本政策金融公庫の創業融資制度を活用することをオススメしています。
何よりもメリットなのが、上記の公式Webサイトに担保・保証人について記載があるのですが、「原則不要」と書いてあります。
これはスゴク重要な事で、精神面で思い切り事業成長に集中するためには、この辺りの担保・保証人が原則不要で創業資金を調達できる魅力はとてもありがたいです。
なので、創業融資制度による資金調達は、創業時に是非とも成功させたい内容の1つになります。
創業計画書の具体的な作り方
創業計画書の具体的な作り方ですが、このあたりは色々な書籍や情報がWebでも出ているので、業種業態に応じた書き方を見つけて、それを参考に書いていくのがオススメです。
ただ、創業計画書の作り込みを進めるときは、先ほど本記事でも紹介したように、資金調達実績の多い顧問税理士の先生と進めていくのが、経験上1番上手くいくと考えます。
顧問税理士の先生は、現実的に数字と資金を第三者的に分析してくれるので、起業時に起きやすい理想の成功イメージにリアルな現状を示してくれます。
筆者はおそらく、それほど多くの創業計画書を手伝ったわけではないのですが
- 今までの経験とこれから行う実績の整合性
(新規ビジネスの場合は競合優位性) - 起業初期の集客計画や見込み顧客
- それら①と②をもって黒字化出来る無理していない計算と数字の整合性
この3つに関して特に注意しながら書いていけば良いと考えています。
多種多様な業種・業態がある中、こんな3行で書くのは恐縮なのですが、現実、経験値として共通するところはそんなところでした。
創業融資による資金調達に成功した場合の成功報酬
創業融資による資金調達に成功した場合、顧問税理士の先生にお願いしたときの報酬もちゃんと加味しましょう。
- 着手金
- 成功報酬手数料
- 顧問契約が前提になる内容
など、料率や着手金の金額も様々なので、上の3つは最初に確認しておく必要があります。
創業融資は税理士の先生以外とも進めていくことは可能です。
筆者個人としては、起業する人のお手伝いも含めて、顧問税理士の先生と一緒に進めていく事が多いので税理士の先生と進めるようにしています。
創業融資のフォーマット
創業融資による資金調達は多くのメリットと事業成長に集中できる機会を与えてくれます。
創業融資のフォーマットがダウンロード出来る国民生活事業の各種フォーマットのWebサイトで最新の創業計画書をよく確認して、自分の考えている事業の見通しを当てはめていってみましょう。
創業計画書は、シンプルに事業の実現性を確認出来る便利なフォーマットで作られているので、ここで黒字化できる数字が出てこない場合は、そもそもの起業や事業内容を考え直す必要があります。
ビジネスでは、どれだけ計画しても確実に成功する方法はないので、仮説前提の事業計画で黒字化が見えないようなら、違う内容の副業などを少しずつ初めてみて、それが育ち、事業成長の見込みが出てみた場合に、再度、起業・独立を検討して法人化までできるか再検討する下がれの方が良いと考えています。
法人の登記やオフィスの場所はどうすればよいのか?
これも業種業態によって選択肢がたくさんあるのですが、現在は、GMOオフィスサポートのように法人登記も可能なオフィスサポートサービスが色々ありますが、筆者の場合は当初、来客が多くあることを想定していたので、法人登記が可能なビルの1フロアを借りました。
このあたりは、どんな事業にするかによってかなり変わる部分だと思うので、適切に選んでいきましょう。
※法人が引っ越しと引っ越しすると何かと費用も掛かり手続きもそれなりにあるので、慎重に決めていきましょう。
起業して法人化を進めたら.co.jpをすぐに取得する
以外とやっていないところとして多いのが、「.co.jp」ドメインの取得です。
「.co.jp」ドメインは、日本の法人が1つだけ持てる貴重なドメインです。
起業して名付ける法人名によっては、もしかしたら法人名が被っているときがあるかもしれません。
そんな時に、先ほど紹介した商標登録という「知的財産権」と「会社名(画半角英数字).co.jp」のドメインが、すべて一致していたらどうでしょう。
筆者だったら、起業調査した時に、しっかりブランディングをしている会社なんだなと思えます。
「.co.jp」ドメインは、お名前.comで簡単に取得が可能です。
起業直後、法人化をした場合には、本当にすぐに取得することをオススメします。
そして、その「.co.jp」ドメインをベースに、サブドメインとサブディレクトリを活用して事業のドメインを育てる準備をしていきましょう。
例えば、お名前.comであれば、ドメインを選定してそのまま、レンタルサーバーも借りて自分の会社のWebサイトをすぐに作ることも可能です。
また、以前に自社Webサイトの作成にビックリするような高い金額の見積もりを出されて喜多方がいましたが、現在は、それほどお金を掛けなくても、素敵なサイトデザインが簡単にできる仕組みがあるので、あまり自社Webサイトに最初からお金を掛ける必要はありません。
関連記事:WordPressテーマでおすすめできる有料版と無料版を比較しながら実例を用いて紹介
起業するときの商品やサービスによって集客の準備方法を変える
実際の事例ですが、製品やサービスが出来上がっていて、法人化をした上で事業を一気に垂直たち上げした時には、集客と言うより、製品やサービスを売るためにASPを利用しました。
関連記事:【保存版】会社の売上を上げるためにはASPのアフィリエイト広告主になるのが近道
美容室や、飲食店のお手伝いをしたときは、LINE公式アカウントによるエリア特化型の集客方法をいくつか実行してきました。
このような形で、業種業態によって施策効果が高く出る方法は色々とあるので、特に創業計画書を作る段階でよく計画を練っておく必要があります。
起業すること自体はそれほど難しくない
起業をして、法人設立を行い会社を持つというところまでは、それほど難しいことではありません。
1番難しいのは、環境の変化に応じて事業を成長させていくことです。
そのためには、特にスタート段階で間違えてしまうとかなり苦しいことになります。
今回、自分の体験を含めて、起業、特に法人設立について事業を始めることを中心に書いてみました。
ある意味、このサイトや記事がなくならない限り、筆者の会社や事業は続いているということにもなります。
筆者自身も、社会にとって必要な存在となれるように、日々コツコツとコンテンツ制作を進めていくので、今後とも宜しくお願いいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。