他の人の起業を筆者が手伝うときは、事業立ち上げから運営体制を整えるまでの計画を一緒にやったり、計画の実行時には、全体的な業務プロセスをまとめる作業をしたり、総務的なことも含めて全てフォローしています。
その中で、事業やプロダクトがローンチされるときに、すぐに商品の提供やサービスリリースの告知、問い合わせの対応ができるように、かなり最初の段階でWebサイト制作をしておきます。
そして、プレスリリースなどに合わせてコンテンツを整えておくようにしておいたりします。
筆者がお手伝いする会社の規模は、小規模事業者*1であることが多く、また起業時すぐには法人ではない場合も多々あります。
なので、本記事の内容は、事業の立ち上げ規模としては大きくない分類のものにはなります。
しかし、集客や問い合わせ対応でWebサイト制作のタイミングやWebサイトの構成や進め方は、事業規模が大きくなったときに事業の方向性や運営体制を変更するときにスムーズに進められる内容になっています。
全て無償でお手伝いしている関係もあって、最小限の動きで事業立ち上げに必要な動きをとっているため、シンプルすぎる内容かもしれないのですが、それでも、本記事の内容がお役に立てば幸いです。
起業時にWebサイト制作の準備ですぐにやっておきたい事
筆者が起業を手伝う場合、業態や業種にもよるのですが、基本的にWebサイトや事業内容によってはLINE公式アカウントなどのSNSを利用して集客できる仕組みを作り、案件などについて相談などの様々な問い合わせ対応ができるようにしています。
店舗などの場合*2は、Webサイトの内容や運用の仕方など大きく変わってくるのですが、Webサイトを制作するタイミングに変わりはありません。
具体的な事例のひとつとして、映像制作関連事業で技術顧問として事業立ち上げをお手伝い*3させていただいた会社があるのですが、特に、映像制作サービスなどは実績や、日々の状況をブログ等で更新していくことがすごく重要なので、事業立ち上げ時からWeb関連の構成について
- 集客の際に一番重要なポイントはどこか?
- 取得する独自ドメインの構成をどうしていくか?
- 事業展開を広げていくときにWebサイトをどのように構成していくか?
を1番はじめの段階から一緒に設計していきました。
個人事業主の場合「.jp」法人化しているなら「co.jp」で取得する
現在はたくさんのドメイン名の種類があるので、選択の幅が広くて迷うことも多いと思うのですが、筆者の場合は、特に特定の業種のみで展開する店舗などを除いては、基本的に「.jp」か「.co.jp」のどちらかのドメイン取得で進めていきます。
事業を展開する広さが世界中の場合は別ですが、ほとんどが日本国内での事業展開であることが多いため、このようにしています。
独自ドメインやWebサイトを制作するためのレンタルサーバーサービスにはエックスサーバーを利用しています。
理由としては、起業からのお手伝いをするときに、エックスサーバーを運営しているエックスサーバー株式会社のサービスには下記の3つがあるからです。
- エックスサーバー(Webサイト制作用)
- Xserverドライブ(データをセキュアにやりとりする)
- Xserver SSL(SSLでWebサイトにサイトシールを表示する)
法人化した際には特に、SSLについてもサイトシールをWebサイトに貼って安全であることを証明できるので利用するようにしています。
同じアカウントで複数のサービスを、複数人数で安全にやり取りができるので、このような形を作っています。
取得した独自ドメインの使い分けを考える
管理を簡便に行うために、まずはエックスサーバーで独自ドメインを取得します。
そして、ドメインに関するサブドメイン及びサブディレクトリーの使い分けの方法を考えていきます。
例えば、実際によく切り分けている事例として
h**ps://unicorn-corp.co.jp (会社のWebサイト)
h**ps://design.unicorn-corp.co.jp (デザイン関連事業のWebサイト)
h**ps://code.unicorn-corp.co.jp (Webアプリ開発事業のWebサイト)
上記のような感じで、企業の公式サイトと事業のWebサイトを分けて運用したりします。
ときには、メインサイトもサブドメインの活用にして、一旦、取得した独自ドメイン自体は、事業の展開具合を考えて最小限のコンテンツにしておきながら据え置いておくこともあります。
サブドメインの活用方法を知っておくと、事業が大きく展開されるようになったり、他の事業立ち上げを行うときでも1つのドメインで展開をコントロールできるようになるので便利です。
このあたり、エックスサーバーは設定や管理が簡単なので、筆者の場合、企業のお手伝いをするときには利用しています。
起業時のWebサイト制作でドメインの取得後に行うメールアドレスの作成について
エックスサーバーで独自ドメインの取得が完了したら、Webサイトのデザインを行う前に、事業として行なっていくために必要なメールアドレスを作っていきます。
事業規模が小さくても、最低でも必要なメールアドレスとしては3つあります。
- 管理者用のメールアドレス
- 事業で利用するサービスで登録するときに使うメールアドレス
- 問い合わせ対応のために必要なメールアドレス
上記3つを、事業を手伝ってくれるメンバーが増えたときでも、個人に割り当てるメールアドレスとは別に作っておけば業務の切り分けを行うことも簡単になります。
起業して事業を立ち上げるときに必要なそれぞれのメールアドレスの意味
先ほど紹介した各メールアドレスは以下のような意味を持っています。
管理者用のメールアドレス
このメールアドレスは、起業時には特に資金調達のひとつとして検討していきたい日本政策金融公庫が扱っている創業融資の利用など、経営において重要な資金や資本政策に関わる内容のものだけを取り扱う用途のメールドレスとして使用します。
事業で利用するサービスで登録するときに使うメールアドレス
事業を立ち上げているとき、多くの商品購入やサービス利用などでたくさんのアカウントが作成されていきます。
このとき、メールアドレス1つで可能な振り分け機能を利用等をしていたとしても、それらのフィルタを抜けてくる色々なメールと混じることになり、管理がかなり大変になります。
なので、これら事業で利用するために登録したりする専用のメールアドレスを作っておくと便利です。
問い合わせ対応のために必要なメールアドレス
問い合わせページなどで制作する問い合わせページなどは、BtoB向けに開発された問い合わせフォームの利用をするのがベストです。
Webサイトのページに直接、メールアドレスの掲載をしても良いのですが、どちらにせよ、問い合わせを見逃すのは避けたいので、問い合わせ専用のメールアドレスを作っておきます。
起業時に会社や事業のロゴやサムネイル画像などを作成する
Webサイトを作るためには、それらに付随したさまざまなアイコンやカバー画像などのデザイン素材が必要になります。
また将来は、それらを知的財産として商標登録したりする可能性もあるので、それらのことを考慮しながら、できれば最初のうちにデザインを済ませてしまうと便利です。
筆者の場合は、創業メンバーにデザイナーの方がいるので、その人に作ってもらったり、自分でも作ったりしています。
今は、ココナラとかでもビジネス向けの商用利用を前提としたデザインをしてくれるカテゴリーがあるので、そこで一通りプロに頼んでしまうのもありです。
会社や事業のWebサイト制作に取り掛かる
ドメインの取得からメールアドレスの作成、そしてロゴなどの必要な素材が一通り揃ったら、Webサイトの制作に取り掛かります。
このとき、自分で0からWebサイトのデザインをすると大変なので、エックスサーバーで利用可能なWordPressというCMS(コンテンツマネジメントシステム)をインストールしたら、有料のWordPressテーマを購入して、それをインストールしてすぐにWebサイトの基本的なデザインを完了させます。
最近、利用することの多くなったWordPressテーマはSWELLです。
最近の利用事例としては、映画監督の方が経営されている合同会社ユメキラメクの映像制作関連おの新規事業立上げをお手伝いしたときにWebサイト制作で利用しました。
コーディングやプログラミングができなくても、すごく素敵なWebサイトデザインができるので、事業の立ち上げが落ち着いたらじっくりとWebサイトデザインにこだわることが可能です。
また、SWELLは複数のWebサイトで利用可能なサイトデザインテーマなので、Webサイトが複数になっても、会社や事業全体でデザインの統一感を持たせることも可能ですし、全く違うコンセプトにすることも可能です。
基本的には、会社情報を載せたWebサイトと、事業紹介をするWebサイトの2つをいつも作っています。
会社のメインページ
- Webサイトのメインページ
- 企業情報ページ
- 取り扱っている事業の紹介
- ブログコンテンツページ
- お問い合わせページ
- サイトポリシーに関するページ
上記の6つがあれば最低限の準備ができると考えて、いつもそのような構成にしています。
事業用Webサイトのほうが売上を立てるためのメインになるので、正直、会社のWebサイトに関してはメインページに基本的な会社情報を載せて、事業用のWebサイト内コンテンツを厚くするようにしています。
会社や事業紹介用Webサイトにブログコンテンツページを作る
最後に、ブログコンテンツのページと更新の仕方を覚えて行く必要があります。
新規事業といっても、筆者の場合は全く新しい市場を形成するような事業の立上げというのに関わることはほとんどないので、基本はすでに出来上がっている市場への参入になります。
Webサイトからの集客を目論む上で、今まで参加してきたプレイヤーと競争して行くには、Webサイトのコンテンツ更新を適正に行なっていき、コンテンツを厚くしていくしかありません。
事業が安定してきて、すこし大きな広告予算が取れるようになったらまた考えるという感じで、まずはベタにWebサイト内のコンテンツを厚くしていって、事業として提供している商品やサービスを、検索ユーザーに知ってもらえるように進めていきます。
Webサイトが完成したらプレスリリースを行う
プレスリリースとは、多くのメディアに自社が発信する貴重な一次情報を知ってもらい、認知度を広げてもらうため、そして興味を持ってもらう施策として有効な手段の1つです。
また、本記事の執筆時点では、PR TIMESなどではスタートアップ支援企画を行なっていて、その内容に合致すれば無料でプレスリリースを行うことが可能になり、場合によっては数百のメディアに事業の情報を知ってもらうための発信をすることが可能になります。
集客から認知度アップに役立つWebサイト運営
ここまでが、起業から事業を立ち上げて行く工程のなかで発生するWebサイト制作をお手伝いしているときの流れです。
と、本記事で色々と紹介していますが、実際にはレンタルサーバーもWebサイトのデザインツール含め、色々なものがあるので、もっと調べてみるのもありです。
- レンタルサーバー徹底比較!WordPressおすすめサーバーを解説
- WordPressテーマでおすすめできる有料版と無料版を比較して実例を基に紹介
- WordPressテーマで利用するのが3種類だけになってきた話
また、本記事ではSNSマーケティングについて書いていませんが、業態やビジネスの内容によっては、SNSも絡めていったほうが効果的です。
実際に、店舗などの地元密着型展開の場合はLINE公式アカウントも兼ねて活用すれば、集客効果をさらに高めることが可能*4になります。
今回、個人事業主でも小規模事業主として法人化した場合でも、既存市場に参加するうえで、ある程度の規模までは、本記事の内容で対応できると考えています。
特に、起業したばかりの時にはわからないことが多かったり慣れない事務系処理などで手一杯になります。
そんな時に、本記事の情報が役に立てば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
起業時のWebサイト制作に関する脚注や出典および参考情報の一覧
- 小規模事業者の定義|中小企業庁Webサイト ↩︎
- 実例の紹介として美容室の集客をLINE公式アカウントで成功させる方法を解説等があり、例えば、美容室だけで展開していく場合は「.salon」というドメインの種類をえらんだりしています。 ↩︎
- 映画館でデジタル上映するために必要なデジタルシネマパッケージ制作事業を開始しました。|2023年12月14日 PRTIMES ↩︎
- 実例として、筆者が手伝ったsai.salonなどがWebサイトとLINE公式アカウントの組み合わせで集客できています。 ↩︎