「自社でアプリを開発しています。」
「全て自分で、このアプリを開発しました。」
筆者としては、こんなことがサラッと言えたらいいなって、すごく憧れを持っているのですが、何か、利用者にとって役立つ付加価値を考えながらアプリケーションを作るのは、多くのプログラミングに関する知識が必要で簡単ではありませんでした。
けれど、考えたアイデアの内容によっては、簡単にスマホ向けのアプリやWebアプリなどの開発ができる手法があるとすれば。
こんな話があると、自分も何かアプリケーションを作れるかも知れないと思えるのではないでしょうか。
実際、筆者自身もその開発環境を使ってアプリケーション開発をしていますし、アプリ開発環境の中には、初心者がゼロから作成して簡単に作れるものがあります。
関連記事:ノーコード開発環境のbubble(バブル)でミニアプリを作りまくってみた話
私たちが普段使用している『アプリ』には、さまざまな種類やジャンルがありますが、実はその中のいくつかは、ノーコード…つまり、プログラミングなどの知識なしで作られているものも多いのが事実です。
ノーコードとは、その名の通り「NoCode(コードなし)」で開発できるサービスのことをいいます。
具体的には、何らかのプログラム言語を直接書いたソースコードを組み込まずに、アプリやソフトウェア、Webサイトなどが開発できる開発環境やサービスを、ノーコードやノーコードツールと呼んでいます。
この記事では、世界で注目を集めるノーコードとは何か、ノーコードサービスの仕組みや実際にノーコードでアプリを作る方法や、アプリ開発の実例について紹介します。
- ノーコードとは何か?
- ノーコードでアプリを作る方法
- ノーコードで作ったアプリの実例
ノーコードのサービスを利用することで、専門的知識がなくても、誰もが簡単にアプリ開発できるようになります。
アプリ開発に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
ノーコードとは?
ノーコードは、英語で《no code》と表記します。
プログラミング言語のソースコードを使わないことから「ノーコード」と呼ばれるようになりました。
コードなしで開発を行うことから、英語では《no code development》と表記し、日本語で「ノーコード開発」と呼ぶことが多いです。
北米では、数年前から「ノーコードは、今後世界的トレンドとなるだろう」との分析がされてきましたが、いまや世界中で普通にノーコードツールが使われるようになり、私たちも日々の暮らしの中でノーコードツールの恩恵を受けています。
例えば、ECサイトで有名なShopifyも、ノーコードツールの一つです。
プログラミングの知識なしで、誰もが簡単にECサイトの開発や設計ができる便利なツールです。
この他にも、世界中で便利なノーコードツールが次々と誕生しています。
ノーコードの種類
ノーコードは、ノーコードツールやノーコードサービスなど、さまざまな呼び方があります。
またノーコードツールのことを総称して「ノーコードアプリ」や「開発アプリ」と呼んだり、シンプルに「ノーコードツール」と呼ぶこともあります。
また実際には、アプリ開発をするときに要件定義の内容によっては、ノーコード開発という事を言わない方もいます。
ノーコード開発(ノーコードかいはつ)
“《no code development》プログラミング言語によるソースコードを書くことなく、特殊なツールを用いてアプリケーションソフトを開発する手法。アプリの機能が定型的で汎用性には乏しくなるが、専門知識がなくても開発が行える、費用や期間を削減できるという利点がある。”
出典:ノーコード開発(Goo辞書)
ノーコードとローコード
ノーコードと同じような言葉に「ローコード開発」があります。
ローコード開発とはプログラミング言語をほとんど使わずに、アプリケーションなどが開発できる手法のことを示しています。
ローコード開発(ローコードかいはつ)
“《low code development》プログラミング言語によるソースコードをほとんど書かずに、特殊なツールを用いてアプリケーションソフトを開発する手法。汎用的な機能や処理がパーツとして視覚化されており、それらをドラッグアンドドロップによって組み合わせることで、アプリを作成できる。詳細な設定は、利用者自身がソースコードを記述する必要がある。”
出典:ローコード開発(Goo辞書)
ノーコードもローコードも、どちらも直感的かつ視覚的に操作ができるという点で、専門的知識を持たない人でも、アプリケーションなどが開発できるというメリットは同じです。
ただし、ノーコードもローコードも、細かな調整や詳細な設定を必要とする部分については、プログラミングをした、ソースコードが要求される場合があります。
その代わりに、ローコードはノーコードよりも自由度の高い開発が行えるというメリットがあります。
ノーコードでアプリが作れる理由
ノーコードでアプリが作れるのは、ソースコードなしにアプリやソフトウェアが開発できるよう、あらかじめ開発用のUI(ユーザーインターフェイス)がサービスやビジネスに設計されているからです。
例えば、画像制作で人気のCanvaというサービスがあります。
このCanvaの中に「Canva Websites」という、Webブラウザ上でデザインが出来るサービスがあるのをご存じでしょうか。
Canva Websitesは、ドラッグ&ドロップという直感的作業だけで、誰でも本格的かつ最新デザインのホームページが制作できる、画期的なノーコードツールです。
筆者の場合は、「note」というWebサービスに使用するアイキャッチやサムネイルなどで利用しています。
なぜ、ドラッグ&ドロップだけでこのようにWebサイトが作れるのかというと、それは、Canvaが特殊なツールを用いて、ソースコードなしにWebサイトができるよう、予め開発と設計をしてくれているからです。
こうしたノーコードツールは、もともと専門的知識を持たない人でもコーディングなしでも開発できるよう効率化を重視して開発されています。
ノーコードがITの世界をより豊かにしてくれる
IT業界では、人材不足が叫ばれています。
しかし、ノーコードツールのような便利なサービスを活用すれば、IT分野の知識を持たない人でもアプリやWebサイト、Webサービスなどが開発できるようになります。
プログラミングはしないとしても、データベースとは何か?そういう基本的な概念の知識などは勉強が必要ですが、それでも作業効率は飛躍的に高まります。
多くのWebサイトやブログでWordPressが使われているのも、専門的な知識が必要なく、webサイトが作れるという「手軽さ」や「簡単なところ」が支持されているからです。
実際に、WordPress以外にも多くのノーコードアプリ開発環境サービスが、知識を問わず、誰でも簡単に開発や設計ができるよう工夫されています。
そして、IT業界にとってもノーコード開発を普及させることで、より豊かなアイデアを取り入れられるというメリットがあります。
なぜなら、ノーコード開発環境を使用して、IT業界とは別の業界やビジネス、クリエイティブの世界にいる人たちの新たなアイデアを取り入れ、さらに新しい技術やビジネスを開発提供することもできるからです。
ノーコードツールができること
便利なノーコードツールを使うことで、専門的知識の必要がなく、さまざまなアプリやソフトウェア、Webサイトなどが開発できるのは大きな魅力です。
また、ノーコードツールがあることで、誰もが簡単に自分だけのWebサイトやサービスを作れるということで「業務効率や生産性向上」ができるのはうれしいことです。
このようなノーコードツールでできることは、大きく分けて3つに分類できます。
- ネイティブアプリケーションの開発
- WebアプリケーションやECサービスの開発
- Webサイトの制作
1つ目は今回の記事でも紹介する、ネイティブアプリ(最近はスマホアプリの事を指すこともあります。)やソフトウェアの開発。
2つ目はブログやWebアプリケーションやECサービスなどの開発、3つ目は、さまざまなWebサービスやWebサイトの制作や開発です。
それぞれの内容を順にみてみましょう。
ネイティブアプリケーションの開発
ノーコードツールを使うことで、ネイティブアプリの開発やソフトウェア開発も簡単に実現します。
例えば、「アプリ開発の実例」部分で紹介する、ノーコードツールのBubble(バブル)は、様々なアプリ開発ができることで有名なサービスです。
Bubble(バブル)で開発できるアプリの種類やジャンルには、あまり制限がなく、ネイティブアプリも、Bubbleを使って開発することが可能です。
Bubbleは、ロレアルやガートナーなどの大手企業もアプリ開発で使用しており、個人だけでなく大手企業のアプリケーションとしても通用するような、優れたアプリを開発することができます。
なお、Bubble(バブル)の開発事例については、本記事の後半で詳しく解説します。
Bubbleと並んで、有名なアプリ開発のノーコードツールには、以下のような種類があります。
このようなノーコードツールによって、アプリ開発はより身近な存在となりました。
このほか、業務効率化などの作業に役立つソフトウェアの開発もノーコードで開発できます。
上記のようなツールは、個人事業などのスモールビジネスでも良いですし、会社の業務管理や生産性向上などの場面にも多く使われています。
WebアプリケーションやECサービスの開発
Webサービスもノーコードで開発できます。
例えば、ECサイト制作や開発で有名なShopify(ショッピファイ)もノーコードツールですし、下のScapic(スキャピック)は、ECサイトに3Dモデルを導入できる便利なサービスです。
また、ここまでに紹介したノーコードでできるツールを単体だけでなく、複数のツールをミックスさせることで、独自性のあるサービスに仕上げることもできます。
例えば、ECの部分をShopify(ショッピファイ)で管理し、そのほかのブログはWordPressで管理するなど。
フロントとバックエンドで必要なサービスと機能を自由に組み合わせて、自分だけのオリジナルの機能やアプリを作ることができるのです。
Webサイトの制作
本格的なデザインのWebサイト、自社の取り組みやサービスを魅力的に紹介してくれるようなコーポレートサイトも、コーディング技術がなくても制作できます。
ここまでにも解説しましたが、私たちがよく知っているWebサイトやブログの管理ソフトであるWordPress(ワードプレス)も、ノーコードツールの一種です。
関連記事:ブログの開設は簡単にできる!サーバー&WordPressテーマ組み合わせ3選!
また、手軽にホームページが作成できる、Wix(ウィックス)やペライチ、STUDIO(スタジオ)などのサービスも、Webサイト開発系のノーコードツールの仲間です。
WordPressの詳細については、以下の記事にて詳しく解説しています。
関連記事:WordPressとは?Webサイト制作に便利なCMSを初心者向けに分かりやすく解説
ノーコード開発環境でできないこと
ノーコードでできないことは、複雑な仕様要件や、内部的に複雑な設定のアプリ開発、独自ステムの開発、そのほか、ツールで特化していない領域の設定や開発については、ノーコードで対応できません。
このため、ノーコードで対応できない部分は、ローコードアプリで開発をしたり、専門的知識を持った技術者に開発を依頼するといった方法を取ることになります。
- 複雑なアプリケーションの開発
- 独自システムの開発
- 他領域に関わるアプリの開発
どのようなことができないのか、対応が難しいのかについて、さらに詳しく解説します。
複雑なアプリケーションの開発
ノーコードで難しいのは、複雑なアプリケーションの開発です。
ノーコードはすでに、用意されている機能やパーツが限定されているので、自由度の高い開発はできません。
特に複雑な機能のアプリを開発するには、ノーコードではなくコーディングやプログラミング開発(プログラミング言語を使った作業)が必要になります。
独自システムの開発
前項と一部共通しますが、ノーコードツールでは、独自システムを開発することは難しく、あまり現実的ではありません。
例えば、オリジナリティの求められるような分野や機能については、やはりゼロベースでコーディング開発を行う必要があります。
他領域に関わるアプリの開発
他領域に関わるアプリの開発とは、例えばネイティブアプリ(=スマートフォンでの使用を目的としたアプリ)の開発に特化したノーコードツールなのに、PCアプリを開発しようとしても対応していないため、開発できないなど。
領域の違う分野については、そもそもノーコードツールが使えない場合があるので、注意が必要です。
ノーコードツールを使う際には、便利な分、出来ることも明確にされているので、どのような機能でどこまで対応できるのか、事前に確認をした上で、目的に沿った使い方をする必要があります。
なお、コーディングやプログラミングが必要な開発については、下記に紹介する方法でプログラミング言語を修得し、開発に必要なスキルを身に付けることができます。
ノーコードで作れるアプリの種類
ノーコードで作れるアプリの種類には、制限はありません。
一般的なアプリケーションから、音声を使用したアプリや業務改善や管理などのアプリ、EC販売のためのアプリなど様々な種類のアプリケーションなどを開発することが可能です。
- Webサイト開発
- アプリケーション開発
- ECサイト開発
- 自社用の業務システム内製化
さらに最近では、メタバースとも言われる仮想空間で使用する機能やアイテムまでも、ノーコードアプリで作れるように、コンテンツなどの制作や開発技術は進化しています。
なお上記のジャンルについては、以下の記事でも開発の方法を紹介しています。
関連記事:WordPressとは?Webサイト制作に便利なCMSを初心者向けに分かりやすく解説
CMSの開発記事ですが、難しいコーディングやプログラミング言語の知識なしに開発ができるので、ノーコード開発に興味のある方にはおすすめです。
ノーコードでアプリを作る方法|導入からリリースまで
ノーコードでアプリをつくる方法ですが、基本的に5つのSTEPでリリースが行えます。
- STEP:1 開発に必要な素材(コンテンツ)を準備する
- STEP:2 ノーコードツールでデザインを行う
- STEP:3 ユーザー目線での利用イメージでシナリオを作る
- STEP:4 検証や動作確認を行う
- STEP:5 アプリの公開(リリース)
各STEPの内容を順に解説します。
STEP:1 開発に必要な素材(コンテンツ)を準備する
まず、アプリで使用する素材を準備しておきます。
画像、テキストコンテンツ、効果音や音楽、動画などを用意してください。
なお、ノーコード以外の方法で開発する場合には、STEP1の前段階として、仕様書を作成したり開発環境などを準備して、その後で素材を集めるといった流れになります。
STEP:2 ノーコードツールでデザインを行う
ノーコードツールで、アプリのデザインを行います。
デザインの素材は、STEP1で準備した物を使いましょう。
ノーコードツールを使えば、直観的に操作ができるので、初心者の方でも簡単にユーザーが操作する画面(UI:ユーザーインターフェイス)を、サクサクとデザインしていくことが可能です。
STEP:3 ユーザー目線での利用イメージでシナリオを作る
アプリを使用するユーザーが、本質的に叶えたいことや達成したいことを設定しておきます。
具体的には、ユーザーがアプリで得られる価値、行動、そして操作について、ユーザー目線でシナリオを作り開発を行います。
STEP:4 検証や動作確認を行う
アプリが完成したら、不具合などが無いか、公開前までに細かい検証を行って、合わせて動作確認も行います。
具体的には、実機で確認を行い、想定される複数の条件を組み合わせた上で不具合がないかチェックをしてください。
分からないことはプラットフォームのサポートやコミュニティがあるので、そこで質問してるのも良いですし、エンジニアの方などに相談できる環境があれば、かなり心強いです。
しかし、自分で作業することの多いノーコード開発環境では、万が一の場合に備えて、自分でも少しずつプログラミング言語の知識を身に付けておくのも、後々すごく役に立つのでおすすめです。
STEP:5 アプリの公開(リリース)
いよいよ、アプリの公開(リリース)を行います。
ネイティブアプリであれば、App StoreやGoogle Playなどのストアに申請して公開できるようになるまで待ちます。
Webアプリなど、その他のアプリや機能についてはすぐに公開も可能です。
また、ECサービスであれば自社の販売Webサイトとして販売を開始することができます。
なお、アプリの作り方の手順や公開方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:ノーコード開発環境のbubble(バブル)でミニアプリを作りまくってみた話
ノーコードで作ったアプリの販売方法
アプリの販売方法ですが、ネイティブアプリとWebアプリでは、公開方法や販売方法が異なります。
まず、ネイティブアプリのように、スマートフォンなどで使用するアプリは、App StoreやGoogle Playなどのストアで審査を経て販売を行います。
一方、Webも使用するECアプリであれば、自社のショッピングカートやオンラインの決済方法で、販売をするといった方法になります。
ここでは需要の多い、App StoreとGoogle プレイのアプリ販売方法を簡単に紹介しておきます。
App Storeでアプリを販売する方法
App Storeでアプリを販売する方法ですが、通常であればAppleが提供している、無料のアプリ開発用ソフトXcodeを使用しますが、今回はノーコードツールを使ってアプリ開発をするので《Xcode》の解説は省きます。
まず、App StoreでアプリをリリースするにはApple Developer Programに登録する必要があります。
Apple Developer Programは登録料があります。
次にProvisioning Profileというページで、自身のプロフィールを作成します。
登録に必要な物は、
- App ID
- 配布用証明書(Certificate)
- 開発用iOS端末の登録
の3点です。
個人か法人化でも、少しプロセスや提出物が違うのですが、本記事では省きます。
最後にノーコードツールで作ったアプリをApp Store Connectに登録します。
その後、審査が開始されApp Storeで販売するのにふさわしいアプリかどうかの結果が出されます。
審査結果が出るのは、申請から何日か必要になります。
なお、App Storeでは、これからアプリを開発し販売する方に向けて、非常に分かりやすいマニュアルを配布しています。
アプリ開発に役立つ情報だけで無く、動画コンテンツや開発に必要な知識を学ぶ場や機会も、下記のサイトからアクセスできます。
参考リンク:App Store – App Storeのための開発 – Apple(日本)
Google Playでアプリを販売する方法
Google Playでアプリを販売する方法ですが、まずGoogle Playデベロッパーアカウントを取得します。
これは、開発者専用のアカウントで作成者の個人情報、販売配布契約書への同意、そしてGoogle playへ登録料を支払うと登録が行えます。
なおアプリ販売方法については、下記にあるGoogle Play公式サイトにて詳しく解説しています。
無料・有料で販売する方法が書かれているので参考にしてみてください。
参考リンク:アプリの価格を設定する(Play Console)
ノーコードで作ったアプリのメリットとデメリット
ノーコードで作ったアプリですが、簡単に開発できるというメリットがある半面、複雑なアプリケーションは開発できなかったり、仕様要件によっては大規模プロジェクトには向いていないというデメリットがあります。
メリットやデメリットについては、この記事で紹介した「ノーコードでできること、できないこと」の章と一部重複する部分もありますが、本章では、ノーコードアプリにはどのようなメリットやデメリットがあるのか、さらに詳しく解説します。
ノーコードアプリの開発をするメリット
ノーコード開発環境でアプリ開発をするメリットとして、最も大きいのは、直接コードを書くためのプログラミング言語の知識が必要無いということです。
ソースコードを書く記述がいらないので、ITスキルや知識のない方でも簡単に開発のスタートが可能です。
また、誰でもアプリが作れるということは、専門家やエキスパートに仕事を依頼する必要が無く、費用の削減はもちろんのこと、制作時間やリリースまでの時間も大幅に削減出来る可能性があります。
この結果、開発のスピードも速まるので業務内容についてもDXによって効率が促進される可能性が高いと考えています。
ノーコードアプリのデメリット
ノーコードアプリを使うデメリットですが、やはり、各ノーコードツールによって特徴があるので、その環境によって様々な制約があるということ。
そのことから、定型的なことしかできない可能性が高いという事が大きいです。
プロセスを工夫したりすれば出来る部分もありますが、複雑で大規模な開発をノーコードだけで済ませるのは中々出来ませんし、複雑な機能や動作を複合的をアプリで効率的に実行させることは難しいです。
また、ノーコードツールの多くが海外企業のサービスなので、未だに日本語対応していないツールも多く、情報の取得にまだ不便なところがあります。
このほか、ノーコードの便利さになれてしまうと、結局のところツールに依存してしまい、プログラミング言語自体の習得で得られる考え方、開発における技術や開発工程を考えるときのプロセス処理スキルなどが身に付かないまま、業者やツールに依存する結果となります。
ノーコードツールも便利ですが、やはり本格的に開発を進めていくのであれば、ローコードであったり、コーディング開発の知識も、少しずつで良いので、勉強しながら活用していくことが必要になります。
ノーコードアプリの開発事例(Bubble)
現在、ノーコードアプリで最も注目されていると考えているのはBubble(バブル)というツールです。
実際にノーコードでどのようなアプリができるのか、下記のブログ記事では、筆者がどのようにBubbleを使っているのか詳しく解説しています。
関連記事:ノーコード開発環境のbubble(バブル)でミニアプリを作りまくってみた話
本項ではこのほか、Bubble(バブル)を使ってどのようなアプリが開発されたのか、開発事例をいくつか紹介したいと思います。
Bubbleの開発事例1:Reachr
Reachrはインフルエンサーと企業をつなぐマッチングアプリで、Bubbleを使って約3カ月で開発を完了。
リリース後、わずか3カ月で収益化に成功した有名なマーケティングプラットフォームです。
スタートアップの分野でも、同社のサービスは大きな注目を集めました。
Bubbleの開発事例2:Escape the City
Escape the Cityは、多彩なジャンルの分野でエキスパートとして活躍する人材の転職支援サービスです。
Escape the Cityはアプリのリリース後、わずか数週間で1,500を超える企業が登録を行い、月間のPV数も3万を超えるなど人気の転職サービスとして事業を拡大し続けています。
Bubbleの開発事例3:Award Pool
Award Poolは、eスポーツの試合やトーナメントを管理するためのアプリです。
Award Poolは開発期間、わずか5カ月でリリースされたアプリであり、現在の登録ユーザー数は17万人を超え、機能性やデザイン性の高さはノーコードアプリの中ではトップクラスのクオリティを誇ります。
Bubbleの開発事例4:Codemap
Codemapは、ノーコード開発ができるエンジニアと企業をマッチングさせる人材情報サービスです。
ノーコードを使って、ノーコード人材を紹介するという仕組みとアイデアが、IT業界でも大きな注目を集めました。
実際にリリース後は、2,000を超える企業が登録を行い、これまでに8,000件以上の人材マッチングに成功しています。
Bubbleの開発事例5:Beelango
Beelangoは、言語学習のためのeラーニングアプリです。
ノーコードで開発された後、世界で10万人のユーザーが登録をしており、数ある語学系サービスの中でもトップクラスの人気を誇っています。
ノーコード開発で、ここまでのサービスが提供できることは大きな驚きであり、ノーコードの魅力を世界に伝えた事例のひとつです。
Bubbleの開発事例6:GoodGigs
GoodGigsは、個人と企業をマッチングする就職支援アプリで、開発者はプログラミング言語の知識がなく、今回のサービス開発をきっかけに1からBubbleをマスターしたことで話題となりました。
リリース後、GoodGigsの登録者数は3,000人を超えており、ビジネスモデルとしてはもちろんのこと、ノーコードツールの成功事例としても広く知られています。
アプリ開発で人気のおすすめノーコードツール(無料・有料)
この記事では、ノーコードツールの基本的な部分について解説しましたが、本記事で取り上げた様々なノーコードツールのうち、Webサイト開発やアプリ開発で人気のツールを8つ紹介します。
Bubble(バブル)
Bubble(バブル)は、数あるノーコードアプリの中でも高度なアプリが作れるツールとして人気があります。
基本的にドラッグ&ドロップで操作でき、開発費用を抑えながら高度なWebアプリが開発できるとあって、個人だけでなく法人でも、広くBubble(バブル)を導入しています。
解説は英語ですが、Googleのページ翻訳で見ながらでも大枠の意味は読み取れます。
また、直観的に操作できる設計になっているので、言語的な壁をあまり感じることなくアプリ開発に専念できます。
また、日本のコミュニティが盛んなので、実際にBubble(バブル)を使って開発したアプリ互いに公表しあって、アドバイスをもらったりすることも出来ます。
下記の記事では、その際に気が付いたことや、学習者が知っておくと得する情報をシェアしてみました。
話題になるようなWebアプリなどが作れていないのでいないのですが、少しでも参考になれば幸いです。
関連記事:ノーコード開発環境のbubble(バブル)でミニアプリを作りまくってみた話
Bubble(バブル)の詳細は、公式サイトにて確認できます。
Adalo(アダロ)
Adalo(アダロ)は、管理画面を直観的に操作するだけで、ネイティブアプリが開発できるノーコードツールです。
ネイティブアプリとは、App storeやGoogle PlayなどのiPhone、Androidアプリで販売できるアプリのことです。
Adalo(アダロ)は、操作が簡単なので初めての方でも安心です。
アプリの作り方ですが、最初はテンプレートに沿ってアプリ作成をすることをおすすめします。
Adalo(アダロ)の詳細は、公式サイトにて確認できます。
Thunkable(サンカブル)
Thunkable(サンカブル)も前述のAdaloと同じく、ネイティブアプリの開発で有名なノーコードツールですが、ネイティブアプリだけでなくWebアプリも開発できます。
Thunkableも直観的かつ視覚的に操作できる設計となっており、これも基本的にドラッグ&ドロップでアプリがつくれます。
また、Thunkableには音声系のコンポーネント(素材)も多いので、効果音や音楽を使ったアプリ開発も可能です。
Thunkableの解説は英語ですが、Googleのページ翻訳で見ながらでも大枠の意味は取れますし、多くの言語に対応する自動翻訳機能が付いている点が便利です。
Thunkable(サンカブル)の詳細は、公式サイトにて確認できます。
AppSheet(アプシート)
AppSheet(アプシート)は、普段私たちが使っているスプレッドシートやエクセルを用いて、アプリ開発ができるコードツールです。
このほか、MySQL・SQL-Serverといった高度なデータベースにまで対応しており、管理アプリ、カメラ撮影(QRコード読み取り機能)のほか、電子署名などの各種サービスが、ドラッグ&ドロップで簡単に開発できます。
なお、単純作業を自動化してくれるAppSheetの《Automation》機能を使うと、これまで時間のかかっていた複雑な作業も自動化でき、作業効率を上げることができます。
AppSheet(アプシート)の詳細は、公式サイトにて確認できます。
Voiceflow(ボイスフロー)
Voiceflow(ボイスフロー)は、Alexaの開発に特化したノーコードツールです。
直観的に操作できる設計となっており、初心者でも簡単にAlexaに対応したアプリが作れます。
日本語には対応していませんが、簡単な単語ばかりなので操作に困ることは少ないです。
単語が分からない場合も、自動翻訳の機能を使えば、操作で迷う可能性は低いと考えます。
すでに世界中で10万を超える企業が、Voiceflowを使ってアプリを開発しており、開発事例や導入事例は公式サイトでも、数多く紹介しています。
Voiceflow(ボイスフロー)の詳細は、公式サイトにて確認できます。
Yappli(ヤプリ)
Yappli(ヤプリ)は、アプリ開発から運用や分析まで、すべてノーコードで完結できるアプリ開発プラットフォームです。
Yappli(ヤプリ)のサービスは、個人やスモールビジネス向けのプランと、法人向けのサービスにプランが分かれています。
すでに多くの大手企業が、Yappliで自社のアプリ開発と運用を行っており、Yappli(ヤプリ)公式サイトにも多数の導入事例が掲載されています。
Yappli(ヤプリ)の詳細は、公式サイトにて確認できます。
Platio(プラティオ)
Platio(プラティオ)は、自社の業務に合わせたWebアプリが簡単に作れるノーコードツールです。
IT専任者のいない事業所においても、100種類以上のテンプレートを使って直観的に操作するだけで、事業において最適なアプリをスピード開発できるので便利です。
また、Platio(プラティオ)を使うことで業務作業効率の改善を目的とした、ビジネスや現場のDX(デジタルトランスフォーメーション、AI、IoT、ビッグデータなどを使って改革すること)が促進されます。
Platio(プラティオ)の詳細は、公式サイトにて確認できます。
Canva
Canvaは、直接アプリ開発などができる訳ではないのですが、多彩なエフェクトを加えたり、オンラインで画像や動画、Webサイトの細かいマテリアル(ボタン)などの素材まで作成できる、クラウド型のノーコードツールです。
Canva最大の魅力は、テンプレートや素材の種類が豊富なこと。
無料プランについては、使える機能や素材に制限がありますが、有料プランを利用すれば、数百万点以上の写真や動画素材、効果音や音楽が更に使い放題になります。
また有料プランになると、テンプレートの数もかなり増えるので、無料版が流行っている中で有料版のテンプレート使うことは、自分のWebサイトやサムネイルを目立たせるキッカケにもなります。
Canvaの詳細は、公式サイトにて確認できます。
ノーコードツールを活用でスキルや出来ることの幅が一気に広がる
今回は、話題のノーコード(NoCode)について解説しました。
一般的にノーコードで出来ることには「限界がある」と、よく言われていますが、それでもBubble(バブル)のようなノーコードツールの導入事例を見てみると、世界的規模でも成功しているサービスやツールが出てきています。
筆者みたいに、個人でミニアプリをたくさん開発して広告収入を得たり、ノーコードツールによるチームでの開発でスタートアップとして進める事だって全然ありだと考えています。
実際に、フルスクラッチに対応できるプログラマーのかたがいれば心強いのですが、中々そうはいきません。
けれど、各ノーコード開発環境のコミュニティはすごく活発です。
どうしても解決しない場合は、コミュニティの中で相談すれば、解決方法を持っている方もいらっしゃいます。
できなくて挫折する前に、思い切って質問してみるのもありなので、ぜひ体験してみてください。
- ノーコードとは、プログラミング言語の知識なしで使えるツールのこと
- Webアプリやネイティブアプリが開発できる
- 開発したアプリはApp StoreやGoogle Playでも販売できる
- 世界的に成功しているサービスもノーコードで作られているものがある
- Bubbleは初心者のノーコード開発におすすめのツール
これまでの成功事例を見ると、ノーコードの世界には大きな可能性が秘められていることが分かります。
ノーコードツールを使って、たくさんの画期的なアイデアを形にして、世界を驚かせるようなアプリが開発できれば、すごく楽しいと思います。
実際に、0ベースでノーコードツールを使い始め、世界的に成功した人も存在します。
ノーコードであれば、プログラミング言語の知識がなくても始める事ができるので、ぜひみなさんもトライしてみてください。
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