リスキリング(reskilling)という言葉や、制度設計をして具体的な動きをしている企業のプレスリリースや、そもそも、「リスキリングって何?」と聞かれることも多くなりました。
今までは、リカレント教育といって、自分の負担で多くの学習費用を負担して様々なスキル習得を習得するイメージが強かったのですが、これからの時代、加速するビジネス環境の変化に対応できる人材育成がますます重要になってきます。
今回、意外にも筆者がブログ運営でリスキリングや人材育成をお手伝いする機会が出来たので、その内容を書いてみました。
この記事では、リスキリングというアプローチでブログ運営から得られるスキルや知識が具体的にどのように人材育成に繋がるのか、そして実践している方法を解説します。
リスキリングとは?
リスキリングが、人材育成についてどのような意味を持っているのかを知るには、まずリスキリングとは何かを知ることが重要になります。
- リスキリングの定義
- リスキリングの目的
- リスキリングとアップスキリングの違い
- リスキリングとリカレント教育の違い
- リスキリングに掛かる費用は誰が負担するの?
それでは順に解説していきます。
1.リスキリングの定義
リスキリングとは、従業員が新たな職種や業務に適応できるように、新しいスキルや知識を習得させる学習プロセスです。
昨今はDXと言う言葉とセットで書かれることが多いのですが、リスキリング自体は必ずしも、全てDX化による組織的な学習の枠組み作りに該当するわけではありません。
しかし、何らかしらの分かり易い言葉として組織内業務のDX化や、それに柔軟に対応するスキル、これらを習得することで、結果として事業スピードを加速していくことを可能にする組織力を得ることが可能になったりするなどがあります。
2.リスキリングの目的
リスキリングの大きな目的は、従業員が新たな職種や業務で円滑に業務ができるようにすることです。
これにより、状況に合わせた柔軟な組織構築を可能にして、事業推進力を高めていくことが出来ます。
このあたりは、会社によっても業界、業種、中心になる業務内容によってかなり変わるところです。
3.リスキリングとアップスキリングの違い
アップスキリングは、従業員が現在の職種や業務でより高いパフォーマンスを発揮できるように、スキルや知識を向上させるプロセスです。
一方、リスキリングは新しい職種や業務に適応するためのスキル習得を重要視してします。
両者は目的が異なるものの、共に人材育成の一環として重要です。
リスキリングは、組織全体のスキルを底上げするイメージでも良いと考えています。
4.リスキリングとリカレント教育の違い
リカレント教育は、自分でスキルアップのために学びに対して動きます。
リカレント教育の実例として、筆者の場合、社会人なってからBBT大学院大学(ビジネスブレイクスルー大学院大学)で、MBA(経営管理修士・経営学修士 UF07期生)を取得するために学び直しの意味も含めて学んでいました。
リスキリングは、新たな職種や業務への適応を目的としたスキル習得を重視します。
企業側で大きな枠組みを用意して、リスキリングに参加する従業員を募集して、スキル習得を会社全体でサポートします。
どちらにしても、現在の業務で習得できれば心強いスキルを獲得するための動きという方向性は変わりません。
5.リスキリングに掛かる費用は誰が負担するの?
リスキリングの費用は、原則的に企業側が負担する形になります。
「企業側の負担で当たり前じゃないの?」と思われたかも知れませんが、大手企業ならそうなのですが、日本の99%を占める中小企業では、リスキリングを行うのは、かなり大きな負担であることが多いです。
今回も、全部掛かる費用よりメリットが出せるのか?という部分で、社内で提案された方も、その部分を理解してもらうのに随分苦労されたようです。
筆者の場合、今回のリスキリング計画と遂行を無償でやっているのですが、それでも、ブログ運営を主軸において、「基本的なWebスキルを楽しみながら身につけてもらう」という内容にしているので、会社に対して個別に掛かる費用は下記の内容になっています。
- 各々が運営するレンタルサーバーの費用
- Webサイトデザイン用のWordPressテーマ購入の費用
- 有料の画像素材を利用するための費用
実際のところ、これらを各々1人ずつに用意する必要はなくて、リスキリング用の独自ドメインを取得して、サブディレクトリ運用でも良いのですが、スキル習得の目的が、
- 1人でWebサイトやブログサイトを運用出来るスキルを習得する
- 様々なITツールを利用して様々な運用方法を知る
- Webサイトやブログサイトを複数人で運用できるようにする
という目的もあって、リスキリングを進めている間に、就業規則の変更もして副業もOKにするように進んでいく予定であったり、個人的な筆者の目標としては、「Webサイトを収益化しちゃう人とかが出てくれば面白いな」くらいに考えています。
Webサイトやブログサイトによる情報発信が上手くいったときに、権利を移管したりする方法や、運営に必要な知財周りのややこしいところも一緒になっていくので、なるべく、筆者と同じ環境で進めていくように配慮していただきました。
関連記事:ConoHa WING(コノハウィング)を使ってみた使用感や感想を書いてみた
ブログ運営からリスキリングで得られるスキル
今回のリスキリングを進めていって、ブログ運営を通じて身につけるスキルは、その後に転職したり、そのまま起業する流れになっても、キャリアアップにおいて非常に役に立つと考えています。
とはいえ、「組織の推進力向上」を目的にしているので、転職や起業と言ってしまうと色々あるので、このあたりは軽く流して行く感じになります。
それでも、やっている中で効果として出てきているを以下に紹介します。
おそらく、スタートアップ企業等で働いている人や、新しい事にガンガンチャレンジしている人からしたら、当たり前的な内容というか、「普通、それくらい出来て当たりまえじゃない?」な内容になることはご了承ください。
ブログ運営による人材育成の具体例として、様々な最新のWeb系ツールが使えるようになって、下記のようなスキル向上が見込めます。
1.Webコミュニケーションツールの使い方
ビジネスコミュニケーションツールには、
など、これ以外にも多くのツールがあります。
最近だと、Notionなどもありますし、これらにAIによる業務サポート機能が加わって、扱えるようにさえなれば、特に定型的な業務であれば、かなりのスピードで業務をこなせるようになります。
今では当たり前に感じるかも知れませんが、まだこれらのビジネスチャットツールが利用されていない中小企業はたくさんあります。
顧客が利用しているから仕方なく従業員単位でバラバラのアカウントで運用しているというのが実情であるところが、この数年間色々あったなでもまだまだ多いのが実情です。
これらを、ブログ運用でリスキリングするついでに、一通り操作を体験するという工程を入れています。
どちらかというと、このあたりは、広告主の環境に合わせて対応するコミュニケーションツールに対してすぐに対応できるようにするという意味合いが強いです。
2.マーケティングスキルの習得
ブログ運用での話になるのですが、ブログ記事を書いて多くの人に読んでもらえるようになるには、役に立つ内容だけで無く、記事のタイトルや見出し、キーワード選定などの、SEO(検索エンジン最適化)に関するマーケティングスキルを身につけることができます。
コンテンツの制作方法だけに限らず、見てもらえるコンテンツ作りは何か?ということを知ることで、多くの人に情報をリーチさせることが出来るようになるので、このあたりは特に重要な部分になってきます。
ここは、再現性の高い、一連の流れが自分で組めてしまえば、何かあっても心強いスキルと経験になるのでしっかりと進めていきたいところです。
3.分析ツールを利用するスキル
特に、ブログ運営においてはアクセス解析やユーザー行動の分析が重要です。
このデータを活用して改善を行う方法を知って、データ分析から施策の計画と実行ができるようになります。
覚える3文字マーケ用語が多いですが、時間のある事案なのでゆっくりと覚えていく感じです。
4.SEO(検索エンジン最適化)を学ぶ
先ほどのマーケティング部分と被ってしまうのですが、SEOと言っても少しテクニカルな部分です。
検索エンジンにどう表示されてほしいのか、例えば、Google検索セントラルの内容を中心に、実際にコーディングしてみたりという内容です。
これらのやり方を覚えると、業界や業種によって、かなり有効になるスキルになります。
また、検索エンジンサービスが提供する情報や、その仕様を読み解くスキルが身に付くので、自分で学習をする習慣も身につけることが可能になります。
5.ソーシャルメディア広報の理解
ブログ記事を効果的に拡散するために、ソーシャルメディアの活用が欠かせません。
ただ、今回はSNSの運用に関しては補助程度になっています。
SNSによる情報発信は、業種・業態によって相性があります。
とはいえ、だれも企業の公式アカウントを運用しないと言うわけ何も行かないので、起案者の方に担当していただきました。
起案者の方だけ企業ブログと、個人でブログ運営をやるので、少し気の毒ですが、頑張るのをサポートしていきたいです。
正直、筆者の場合、X(旧Twitter)などのSNSにはあまり力を入れていないし、やってはいけない運用の仕方ばかりをやっているので、良い機会なので、真面目に一緒にやっていこうと考えています。
筆者も、今回をきっかけにリスキリングにあやかっている感じです。
6.基本的なWebの知識や扱い方を覚えることが出来る
スゴく地味なところかもしれないのですが、ドメインの取得の仕方や、サブドメインとサブディレクトリの違い、メールアドレスの作り方など、会社でも、後に転職や起業することがあっても役に立つ、Webの基礎知識と実際の業務を覚えることが出来るようになります。
これらは、会社が大きくなると業務が細分化されていくのでスキルが偏りがちになりますが、これらのやり方もすべていからやっていくことで、Web関連の業務に関する属人化も無くしていくことが可能になります。
関連記事:メールアドレスの作り方や作成方法について実例を用いて解説!!【ドメイン取得からメールアドレス作成まで】
7.運営していく上で利用される指標まわりの用語が理解できるようになる
これもマーケティング用語と内容が被ってしまう部分がありますが、具体事例としては、KPIというものが、信号機のような指標ではなくて目標や達成予算的なものになってしまっている部分などの、フレームワークや象限の正しい使い方を知ることが出来るようになります。
特に、リスキリングの目的は「事業の推進力を高める」なので、同じ用語に対して、銃牛飲全員が同じ認識を持つことが大事です。
すれ違いは恐いです。
それをなくすために、これらに対して、ブログ運用を通じて、Webメディア運用や実務で使われている用語の解説や学びを進めていきます。
リスキリングで利用するブログ運営での人材育成を支援するツール
人材育成を目的としたブログ運営を効率的に進めるためのツールを簡単に紹介します。
アクセス解析ツール
ブログ運営なので、Google Analyticsは、アクセス解析を行うときの定番のツールです。
どのブログ記事やコンテンツへのアクセウが多いのか、訪問後の行動推移を把握し、改善策を立てていくための定番ツールです。
これ以外にも、Matomo等があるので、両方とも経験しておくのが大事だと考えています。
WordPressプラグイン
今回の事例では、CMSにWordPressを利用しています。
WordPressは、Webサイトのフロントで多く利用されているので、SEO対策やコンテンツ作成、セキュリティ対策等多数のWordPressプラグインが存在します。
あくまでもシンプルで、且つプラグインの数を最小限することを念頭に置いて、何を使用すれば良いのか?どのように管理すれば良いのかについて学んでいきます。
これらを活用することで、ブログ運営を効率的に行うことができます。
関連記事:WordPressの始め方を超初心者向けに解説!無料ブログ&レンタルサーバーの設定方法
SEOツール
SEOツールは、Webサイトやブログサイト運営を成功させるために欠かせない存在になっています。
自分の扱うジャンルでどのようなキーワードがどれくらいのボリュームで検索されているのか?そして、その意図は何なのか?、SEOツールが担う機能は欠けばキリがないのですが、下記のようなツールを使いこなせるようになれば、どこでも通用する分析スキルを身につけることが出来ます。
最近は、AIサジェストが充実していて、たりないキーワードの提案や、ある程度の記事構成まで提案してくれるSEOツールもあります。
無料期間があったり、無料少し使える部分もあるので、これらを活用します。
リスキリングによる企業の人材育成戦略とブログ運営の活用
企業でリスキリングの内容をブログ運営による人材育成の一環として活用する方法を紹介します。
社内ブログを活用した研修
社内ブログを運営し、社員が記事を執筆することで、社内のコミュニケーションが活性化されるだけでなく、各社員のスキルアップも図ることも可能です。
ただ、今回は自社の企業に関するブログでも良いし、全く関係ない雑記ブログでも大丈夫という内容になっています。
企業ブログを担当するのは当面1人ですが、各従業員の方々がWebサイトの運用になれてきたら、Webサイトを複数人で運用するという流れに切り替えて行く感じになります。
外部ブログでのブランディング
従業員の方々が、今回のリスキリングで外部からのブログとして、自社の業界に関する記事を執筆してくれれば、企業に所属している人材の専門性やブランド力をアピール出来るので、結果的に集客力を高める事も可能になります。
社員の専門知識の発信
自社の業界や業種に関する情報発信を、社員がそれぞれの専門知識でブログ記事として発信することで、各々がブログ記事を読んでいるウチに知識共有がされていき、新たなアイデアやビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
ただ、このあたりは、あまり情報発信する内容を同調圧力で同じようなテーマにしてしまうと、モチベーションが上がらない人も出てきてしまうので、ブログのテーマやジャンルは自由です。
関連記事:ブログの始め方と人気ブログの作り方を完全初心者向けに解説
リスキリングでブログ運営をすることによるチームワークの強化
リスキリングでブログ運営をして行く中で、最初は各々がブログサイトなど運用するのですが、Webサイトを運をチームで運用することで得られる連携スキルもあります。
コンテンツ企画の共同作業
権限管理などのやり方を学びつつ、チームでコンテンツの企画を行うことで、ビジネスチャットなどで効率的なコミュニケーションをとりながら、メンバー間でアイデアの共有や相互理解が促進され、より質の高いコンテンツが生まれます。
また、これらを進めていく中で、新たな得意分野が見えてくる従業員の長所も見えてきます。
記事の査読やフィードバックなどの流れが組めるようになる
Webサイトやブログ運営で、各々がまず、個別のサイト運営でやり方を覚えたら、次はチームを作って、自社の企業ブログでコンテンツ制作を出来るようにしていきます。
担当も、文章作成、図表作成、ディレクションなど、実際にはもう少し細かくありますが、これらを一通り経験する内容で進めていきます。
ただ、最近は、AIでテキストから図表を起こしたり、例えば、Canvaでもテキスト入力をするとデザインしてくれたりするので、活用するツールもどんどん進化していきますが、まずは体験して見ることが重要だと考えています。
コンテンツの効果分析と共有
ブログ記事の分析結果をチームで共有することで、多面的に物事を俯瞰するイメージが着くようになります。
この経験は、1人でやることになったときも、視点を変えて分析結果から考察する能力を手に入れることが出来るので重要なステップになります。
リスキリングによるブログ運営でリーダー育成を行う
ブログ運営は、ちょっと古い言い方かも知れませんが、リーダー育成にも役立ちます。
リーダーというか、プロダクトを取り纏めるディレクション能力を培う機会を得られるので、そちらのほうがイメージとして近いかもしれません。
意思決定権はあっても、Webメディアやプロダクト、事業を育てて行く中で重要なのはチームワークなので、あまり上下関係的な感じは無くなるようにいつも考えています。
プロジェクト管理スキルの向上
ブログ運営は、特に自社のWebサイトコンテンツを制作していく上では、多くのタスクやスケジュール管理が必要です。
これらのプロジェクト管理スキルは、ディレクション能力として必須になる要素であり、これらもブログ運営を通じて養われると考えています。
メンバーのコーチングとサポート
チームでブログ運営を行う際に、リーダー的な立場になったら、プロジェクト進行の中で、メンバーに様々なスキルに関する気づきを与えるコミュニケーションができるスキルが身に付くのが理想です。
同じ目線で企業サイトなどの1つのメディアをチームで運用する経験をすることで、結果としてコーチングのスキルも身に付いてきます。
ビジョンや目標の共有
ブログ運営においてディレクションを行うようになると、チームでビジョンや目標を共有することが重要になります。
Webメディアやブログ運営のメインになるテーマがズレ内容にするためには、このあたりの情報を共有することはかなり重要と言えます。
そのために、このプロセスを通じて、ビジョンや目標を伝える力を育てることができます。
ブログの運営を経験してもらうことでリスキリングができる
リスキリングは、新しいスキルや知識を習得して、新たな職種や業務に適応できるようにするプロセスです。
リカレント教育とは異なる目的を持つものの、両方ともキャリア形成において重要な役割を果たします。
ブログ運営を通じてリスキリングや人材育成、チームワーク向上、リーダーシップ育成が可能です。
筆者の場合、今回の経験は、まだプロセスとしては始まったばかりに近い状況ですが、リスキリングとして、今後どのように変化が起きてくるのか、楽しみです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。